JR西日本は15日、上り「サンダーバード20号」の発車に合わせ、和倉温泉駅でありがとうセレモニーを開催した。北陸新幹線金沢~敦賀間開業に合わせ、特急「サンダーバード」は同日をもって敦賀~金沢・和倉温泉間の運行を終了。3月16日から大阪~敦賀間で運行される。
特急「サンダーバード」は上下各1本のみ七尾線へ直通し、和倉温泉駅発着で運転されている。七尾線では、定期運転を行う特急列車として「能登かがり火」も設定され、両列車合わせて金沢~七尾・和倉温泉間で5往復の運行体系となっていた。北陸新幹線金沢~敦賀間開業に伴う3月16日のダイヤ改正で、金沢~七尾・和倉温泉間の特急列車は「能登かがり火」に統一。5往復とも基本的に3両編成で運転されるが、多客期に6両編成で運転する場合もあるという。
ありがとうセレモニーが行われた和倉温泉駅のホームは2面2線だが、「令和6年能登半島地震」でホームが損傷し、列車の運転再開後も駅舎側の1番のりばが使用不可に。のと鉄道の普通列車に加え、和倉温泉駅で折り返す特急列車も跨線橋を渡った2番のりばを使用している。
9時56分、下り「能登かがり火1号」が和倉温泉駅の2番のりばに到着し、上り「サンダーバード20号」となって折り返す。発車の際、「ありがとうサンダーバード」「長年のご愛顧に感謝申し上げます」の横断幕も掲げられた。七尾市長の茶谷義隆氏、JR西日本金沢支社長の漆原健氏らがセレモニーに出席し、ご当地キャラクターの「和倉温泉わくたまくん」も登場。10時13分、駅長による合図とともに「サンダーバード20号」は和倉温泉駅を発車し、多くの人に見送られながら大阪駅へと旅立って行った。
和倉温泉駅の駅舎内には、「ありがとうサンダーバード」のメッセージに加え、北陸新幹線に関する展示もあり、開業まで「あと1日」と示された。使用不可となっている1番のりばに関して、工事を進めているものの、具体的な復旧時期は未定とのこと。隣の七尾駅も、JR七尾線(金沢方面)の列車は駅舎側の1番のりばを使用できず、跨線橋を渡った2・3番のりばで乗降りする必要があった。
七尾市内を鉄道・バスで移動中、屋根や窓などブルーシートで覆った家を多く見かけた。路面が歪み、アスファルトが大きくひび割れた場所もあり、地震の影響を強く感じさせる。一方、交通機関の復旧は着実に進んでおり、市内を走る北鉄能登バスは多くの路線でほぼ通常通り運行していた様子。のと鉄道は現在、能登中島~穴水間でバス代行輸送を行っているが、4月6日に全線で列車の運転を再開する予定となっている。
ありがとうセレモニーに出席した七尾市の茶谷市長は、「サンダーバードがなくなることに寂しさもありますが、震災の復興に向けて動き出す中、新しい七尾線の始まりではないかという思いがあります。多くの方に再び足を運んでいただけるような取組みも進めたい」と語った。