最近注目されている「エクオール」という成分をみなさんは知っていますか?
エクオールとはヒトの体内において、女性ホルモンである「エストロゲン」に似たはたらきをする成分です。本記事ではエクオールが何かを紹介していきます。あわせて、名古屋大学発のベンチャー企業「ヘルスケアシステムズ」協力のもと、実際にエクオールを産生できるかどうかの検査を母娘で受けてみたので、その様子もお届けします。
エクオールって何?
まずはエクオールが何かという点からみていきましょう。
今回、エクオールについて教えてくれたのは日本女性医学学会認定 女性ヘルスケア専門相談員であり、女性の健康とメノポーズ協会の理事長を務める三羽良枝さんです。
女性ホルモンである「エストロゲン」に似たはたらきをするのがエクオールだというのですが、そもそもエストロゲンはどんなはたらきをするのでしょう。
エストロゲンは、血管や骨などを健康な状態に保ち、コラーゲンの生成を促進することから「美人ホルモン」などと呼ばれることも。思春期から性成熟期にかけて体の成長とともに増加するのですが、更年期になると急激に分泌量は低下、閉経後はほぼゼロに等しくなるそうです。
このエストロゲンと似たはたらきをする「エクオール」は、腸内細菌であるエクオール産生菌と大豆イソフラボンが結びつくことによって生成されます。エクオールは、肌の不調改善、ホットフラッシュといった更年期症状の改善、骨密度の低下抑止、首や肩こりの改善といったはたらきが研究結果から明らかにされています。
そのほか、近年の研究によるとびまん性脱毛症(女性型脱毛症)や男性特有の悩みである前立腺肥大症予防としての効果も期待できるのだとか。
ですが、この「エクオール」を作り出せるのは日本人のうち約50%といわれています。そこで、自身がエクオールを産生できるのかをここでは検査していきます。
みなさんの中には、「それを知ったからなんなんじゃい!」と思うかもしれませんが、三羽さんによるとエクオール産生者は、"更年期症状やPMS(月経前症候群)症状が軽くすむ確率が高い"という研究結果が出ているそう。これは裏を返せば、エクオールを産生できない人や不足しがちな人はそれを補うことで、体のゆらぎを改善できる可能性があるということです。
また、「閉経後は、血管壁を守ったり、骨粗しょう症を予防してくれるエストロゲンがほぼゼロになってしまうからこそ、(エストロゲンと似たはたらきをする)エクオールは必要です」と三羽さん。
思春期から閉経後まで、女性の健康と美をサポートする成分「エクオール」。これを作り出せる体質かどうかを理解しておくことは、体と向き合う方法のヒントを得られるともいえるでしょう。そこで、今回は閉経を迎えた母親と一緒に検査をしてみました。
意外に簡単!? 母娘で検査してみた
今回、試したのはヘルスケアシステムズが提供する「エクオール検査『ソイチェック』」(4,785円)。自宅で尿を採取し、それを検査機関へ送付するだけでエクオールが産生できているかどうかがわかるものです。
食事で摂取した大豆は腸内のエクオール産生菌によってエクオールに変換され、体内で作用した後、尿と一緒に排出されます。そのサイクルは早く、1日~2日でほとんどが排出されてしまうのだとか。
そのため、普段あまり大豆を食べない人は、事前に大豆食品を摂取してから検査をするのがポイント。目安量としては、納豆なら1パック程度、豆腐は約半丁、豆乳は200cc程度です。
なお、説明書きによると検査が受け取れない大型連休や、血が混じってしまう生理中は避ける必要があるとのこと。検査を実施し、結果を待つこと約1週間。ネットで検査結果が届きました。
気になる検査結果は…?
●アラサー筆者:Level.3
筆者はエクオールを産生できており、測定数値は「5.2µM」。エクオールが作れている量を5段階で示したとき、筆者の数値はちょうど真ん中のLevel.3でした。
サイトによると理想は「Level.4」。それに近づくためには、食生活の見直しが重要だといいます。ポイントは、エクオールの材料があり、腸内細菌が活動していること。そのために、「大豆食品を毎日食べる」「食物繊維を摂取する」ことを推奨されました。
●閉経後の母親:Level.1
筆者の母親はというと、Level.1「作れていない」との結果が……! 測定数値は「0.25µM未満」と、筆者と比べると約20分の1の数値となっており、腸内でエクオール産生菌がほとんど活動していないというのです。
筆者と同じように食生活の見直しに加え、「運動習慣をつけたり、8時間以上の睡眠もとるようにし、エクオール産生菌が活動しやすい状態にしましょう」とのアドバイスが。
親子だから似ている結果かと思いきや、異なる結果にびっくり。仕事が忙しく、あまり睡眠時間がとれていなかったという母親は、「生活を改めて見直す必要があるね」と一言。別々に暮らしていることもあり、母親の生活をよく理解できていなかった筆者でしたが、この検査がお互いの生活習慣を見直す良いきっかけにもなりました。
エクオールが作れない人はどうすればいい?
では、そもそもエクオールが作れていない人は、今後も産生できないのでしょうか。また、産生できない人はどう補っていけばいいのでしょう。三羽さんに尋ねてみました。
「3年前に検査したときは産生できていなかったのに、3年後に検査したら(産生)できているということはあります。一方で、産生できていた人ができなくなるということもあります。腸内環境の変化などさまざまな要因が考えられますが、それがなぜかは明らかになっていません」
このようにわからない部分がある一方で、エクオールが産生できる人にみられた特徴として次のことが挙げられます。
【エクオールが作れている人にみられた特徴】
・大豆食品をよく食べる
・睡眠時間を8時間以上とっている
・食物繊維を積極的にとっている
・ほぼ毎日運動をしている
・非喫煙者である
上記を意識しつつ、産生できていない人や不足しがちな人は市販のサプリメントなどでエクオールを補うことが重要なんだとか。量は「1日10ミリグラム摂取」が目安とのことです。
年齢問わず、女性の健やかな暮らしをサポートする成分「エクオール」。筆者たち母娘もこの結果を受け、女性ホルモンの重要性を理解すると同時に、規則正しい生活を心がけねばと反省をしたのでした……。ちなみに筆者は検査後、毎日豆乳を飲むようになりました(笑)。
簡単な検査。ですが、ここからQOL向上につながるヒントを見つけられるかもしれません。
※この検査は病気の診断ではありません。気になることは医師に相談を
取材協力:ヘルスケアシステムズ、公益社団法人 女性の健康とメノポーズ協会