南海電気鉄道は14日、姉妹鉄道協定を締結しているスイス連邦のモントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道(MOB)との取組みとして、「ゴールデンパス・エクスプレス」のデザインをラッピングした「MOB ラピート」の運行を開始した。同日に難波駅で出発式が行われた。
MOBはレマン湖畔のリゾート地、モントルーを拠点とする鉄道事業者であり、パノラマ特急車両や特別車両を保有する。南海電鉄とMOBはともに最急勾配50パーミル以上の山岳路線を有し、沿線に世界遺産を擁するなど共通点が多く、2017年10月に姉妹鉄道協定を締結。2018年7月、MOBにて高野山をイメージしたラッピング列車が登場した。
今回、難波~関西空港間の特急「ラピート」1編成(50504編成)に対し、MOBの展望列車「ゴールデンパス・エクスプレス」をもとにしたラッピングが施され、「MOB ラピート」に仕立てられた。「ゴールデンパス・エクスプレス」はインターラーケンからモントルーまでを結び、人気の絶景ルート「ゴールデンパス・ライン」を走る。
「MOB ラピート」のラッピングは車体側面に施された。白色を基色に、青色の帯と細い金色のラインが走る。各車両とも中央部の側面下部に「GOLDENPASS EXPRESS」の文字とスイス国旗が掲げられている。4号車の車体側面に「GOLDENPASS EXPRESS」の運行ルートを記したスイスの地図も掲出された。反対側の車体側面も同じデザインに。車内の装飾は行われていない。
難波駅で行われた出発式にて、南海電気鉄道代表取締役会長兼CEOの遠北光彦氏は、「MOBラピート」の運行に際し、「今年はラピートが運行を開始して30年という記念の年。このようなラッピング列車を活用することにより、大阪・関西をより盛り上げていきたいと思っています」と述べた。MOBのCEOを務めるジョージ・オベルソン氏は、「MOBそしてスイスにとって、MOBの保有車両ゴールデンパス・エクスプレスのカラーを持つ素晴らしい車両を日本の鉄道車両にお披露目でき、大変光栄に思います」と挨拶した。
「MOB ラピート」は11時27分に入線し、11時35分頃、「ラピートβ35号」として難波駅を発車した。同列車は限定運用ではなく、通常運用の中で難波~関西空港間を走る。なお、「MOB ラピート」の運行期間は「当面の間」となっているが、少なくとも2025年に開催される大阪・関西万博の期間中は運行されるとのことだった。