藤井聡太棋聖への挑戦権を争うヒューリック杯第95期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は決勝トーナメントがスタート。3月13日(水)には1回戦の増田康宏八段―大橋貴洸七段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相矢倉の攻め合いから抜け出した大橋七段が99手で勝利。難敵を破ってベスト8進出を決めました。
対戦成績はともに2勝
一週前のB級1組順位戦では昇級争いを演じた二人、大橋七段としてはまたとないリベンジのチャンスです。振り駒が行われた本局は両者の息が合って相矢倉に進展。持久戦に進むかと思われた局面で先手の大橋七段が動きます。連続で歩を突き捨てたのがその始まり。
左銀を繰り出しテンポよく攻める大橋七段に対し後手の増田八段は長考を余儀なくされます。じっと歩を伸ばして局面の方針を委ねたのは大崩れを避ける窮余の策ですが、折衝が一段落した局面での両者の判断は先手良しで一致。7筋の飛車が盤面全体を制圧しています。
悲観に乗じて大橋七段勝利
大橋七段は続いて右辺から攻めを継続。決め手を得られぬまま流れを失いかける局面はあったものの、形勢を悲観する増田八段が開き直って攻め合いに出たことで先手優勢が確立されました。感想戦ではこのタイミングで後手が受けに回っていれば難解とされました。
今度こそ抜け出した大橋七段は抜かりない手順で後手玉への寄せの網を絞ります。終局時刻は16時50分、最後は自玉の詰みを認めた増田八段の投了により大橋七段の2回戦進出が決まりました。大橋七段は次戦で広瀬章人九段―佐々木大地七段戦の勝者と対戦します。
水留啓(将棋情報局)