ソニー生命保険は3月12日、「子どもの教育資金に関する調査」の結果を発表した。調査は2024年1月31日~2月1日、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1,000名を対象に行われた。
「早期教育は子どもの将来のために重要」は64%
まず、子どもの教育や教育費に関する内容について、自身の考えや状況がどの程度あてはまるか聞いた。「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる」では、「非常にあてはまる」が16.6%、「ややあてはまる」が47.3%で、合計した「あてはまる(計)」は63.9%となった。子どもの学力や学歴が教育費の多寡に大きく依存していると実感している親が多いようだ。
「老後の備えより子どもの教育費にお金を回したい」では、「あてはまる(計)」は59.7%、「早期の知育や英才教育は子どもの将来のために重要だ」では、「あてはまる(計)」は68.1%、「スポーツや芸術の習い事よりも学習塾に教育費をかけたい」では、「あてはまる(計)」が41.5%となった。
「子どもが希望する場合、多少費用がかさんでも大学等へ進学させたい」は86%
子どもの大学等(大学・短期大学・専門学校、以下同様)への進学に関する意識について聞いたところ、「(子どもが希望する場合)多少費用がかさんでも進学させたい(計)」(「非常に」と「やや」の合計、以下同様)が85.6%、「費用がかさむなら進学させなくてもよい(計)」が14.4%となった。子どもの大学等の入学金・授業料等の費用については、「費用にこだわらず子どもの希望を優先させたい(計)」が76.4%、「費用が極力抑えられる学校を選択させたい(計)」が23.6%となった。
子どもの学校への通学については、「自宅から遠ければ下宿や寮生活をさせてもよい(計)」が49.3%、「自宅から通える学校を選択させたい(計)」が50.7%となった。子どもの学生時代のアルバイトについては、「アルバイトはせず学業に専念してほしい(計)」が48.0%、「アルバイトをして学生生活の費用に充ててほしい(計)」が52.0%となった。海外留学や海外研修については、「(子どもが希望する場合)多少費用がかさんでも経験させたい(計)」が66.3%、「費用がかさむなら経験させなくてもよい(計)」が33.7%となった。
昨年の調査結果と比較すると、「(子どもが希望する場合)多少費用がかさんでも経験させたい(計)」と回答した人の割合は、2023年59.3%から、2024年66.3%と7.0ポイント上昇。子どもが希望するなら、海外での学びの機会を得ることやグローバルキャリアの形成を後押ししたいと考える親は増えているようだ。
「子どもの教育費の負担を重いと感じる」は67%
自身の考えや状況に、「子どもの教育費の負担を重いと感じる」がどの程度あてはまるか聞いたところ、「非常にあてはまる」が23.8%、「ややあてはまる」が43.6%で、合計した「あてはまる(計)」は67.4%となった。
子どもの就学段階別にみると、「あてはまる(計)」と回答した親の割合は就学段階が上がるほど高くなる傾向がみられ、大学生等(予備校生・浪人生・大学生・短期大学生・専門学校生、以下同様)の親では78.2%だった。過去の調査結果と比較すると、子どもの教育費の負担を重いと感じる親の割合は、2023年66.9%から2024年67.4%とほぼ横ばいで推移した。
「子どもの教育資金に不安を感じる」は84%
子どもの将来について、教育資金に不安を感じるか聞いたところ、「不安を感じる」は83.5%、「不安を感じない」は16.5%となった。子どもの就学段階別にみると、「不安を感じる」と回答した親の割合は、中高生の親(87.3%)が最も高くなり、未就学児の親(86.3%)が続いた。
子どもの教育資金に不安を感じる親(835名)に、不安を感じる理由を聞いたところ、「物価の上昇」(55.7%)が突出して高くなった。次いで高くなったのは、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」(35.2%)、「収入の維持や増加に自信がない」(33.5%)、「社会保険料の負担増」(27.8%)、「病気やケガで収入が途絶えるリスク」(23.1%)だった。
小学生から社会人になるまでに必要な教育資金、平均予想金額は1,439万円
未就学児の親(248名)に、子どもが小学生から社会人になるまでに、教育資金はいくらくらい必要だと思うか聞いたところ、「1,000万円~1,400万円位」(31.4%)と「2,000万円~2,400万円位」(25.4%)に多くの回答が集まり、平均予想金額は1,439万円だった。平均予想金額を過去の調査結果と比較すると、2022年1,377万円→2023年1,436万円→2024年1,439万円と、調査開始以来最高額となった2023年を上回った。物価高や相次ぐ値上げラッシュなどを背景に、必要だと予想する教育資金は上昇を続けるも、上げ幅は縮小した。
教育資金として子どもの祖父母からこれまでに受けた資金援助、平均は124万円
全回答者(1,000名)に、子どもの教育資金として子どもの祖父母(自分の親や義理の親)からこれまでにいくらくらい資金援助してもらっているか聞いたところ、「0円」(49.9%)に半数の回答が集まったほか、「~40万円位」(16.6%)や「100万円位」(10.0%)にも回答が集まり、平均は124万円だった。昨年の調査結果と比較すると、資金援助してもらっている金額の平均は、2023年104万円から2024年124万円と20万円の増加となった。
学校外教育費の平均支出金額は17,593円/月、調査開始以来最高額に
スポーツや芸術などの習い事、家庭学習、教室学習のそれぞれに1ヶ月あたりいくらくらい支出しているか聞き、それぞれの平均支出金額を合計したところ、17,593円/月となった。平均支出金額の合計を過去の調査結果と比較すると、2023年16,861円から2024年17,593円と732円の増加となり、調査開始以来最も高い水準となった。
子どもの就学段階別に平均支出金額の合計をみると、未就学児の親では9,218円/月、小学生の親では18,914円/月、中高生の親では25,675円/月、大学生等の親では16,453円/月となった。平均支出金額の合計を昨年の調査結果と比較すると、小学生の親と中高生の親では調査開始以来最も高い水準となった。
子どものこづかいの平均額、小学生は月2,777円、中高生は月7,073円
高校生以下の子どもの親(748名)に、子どものこづかいや、携帯電話・スマートフォンの通信・通話料金への支出状況について聞いた。
子どものこづかいに支出している親の割合を子どもの就学段階別にみると、未就学児の親では19.0%、小学生の親では46.8%、中高生の親では75.0%だった。子どものこづかいに支出している親(352名)の平均支出金額は、未就学児の親では1,819円/月、小学生の親では2,777円/月、中高生の親では7,073円/月となった。また、子どもの携帯・スマホの通信・通話料金に支出している親の割合を子どもの就学段階別にみると、未就学児の親では16.9%、小学生の親では46.0%、中高生の親では88.5%だった。
子どもの進学費用のための備え、平均支出金額は16,942円/月
高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(752名)に、子どもの進学費用のための備えとして、1人あたり月々いくらくらい支出をしているか聞いたところ、「0円」(30.6%)に最も多くの回答が集まったほか、「10,000円~14,999円」(17.6%)や「20,000円~29,999円」(17.4%)、「30,000円以上」(19.3%)にも回答が集まり、平均は16,492円/月だった。平均支出金額を過去の調査結果と比較すると、2022年15,690円→2023年18,372円→2024年16,942円と、昨年みられた増加から一転、今年は1,430円の減少となった。物価高による実質賃金の減少を受け、家計の厳しさが増しているという実態が垣間見える結果に。
子どもを大学等へ進学させるための教育資金の準備方法は?
高校生以下の子どもの親(748名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備しているか聞いたところ、「銀行預金」(56.4%)が最も高くなり、「学資保険」(43.7%)、「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠等)」(19.0%)、「(学資保険以外の)生命保険」(10.0%)、「財形貯蓄」(9.4%)が続いた。世帯年収別にみると、世帯年収が1,000万円以上の人では「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠等)」が34.7%と、全体(19.0%)と比べて10ポイント以上高くなった。
他方、大学生等の親(予備校生・浪人生を含まない)(248名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備してきたか聞いたところ、「銀行預金」(69.0%)が突出して高くなり、「学資保険」(39.9%)、「奨学金」(17.3%)、「子どもの祖父母(自分の親や義理の親)からの資金援助」(10.9%)、「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠等)」(10.5%)が続いた。
「大学等の学費は高すぎる」は83%
高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(752名)に、大学等の学費(入学金・授業料)や奨学金に関する意識について聞いた。
「大学等の学費は高すぎると思う」では、「非常にそう思う」が41.5%、「ややそう思う」が41.4%で、合計した「そう思う(計)」は82.8%。「大学等の学費を無償化してほしい」では、「そう思う(計)」は83.5%となった。
「給付型奨学金(返済不要)をもっと利用しやすくしてほしい」では、「そう思う(計)」は83.0%。「貸与型奨学金(無利子で借りる)をもっと利用しやすくしてほしい」では、「そう思う(計)」は79.7%となった。 また、子どもが貸与型奨学金を利用した場合、返済時に支援したいと思うか聞いたところ、「そう思う(計)」は79.7%となった。
児童手当の拡充に対する期待度
政府が2023年に決定した「こども未来戦略」について質問した。
2024年10月から行われる児童手当の拡充について、どのくらい期待したいと思うか聞いたところ、「児童手当の所得制限撤廃(現在設定されている所得制限が撤廃)」では、「非常に期待したい」が27.3%、「やや期待したい」が36.2%で、合計した「期待したい(計)」は63.5%、「全く期待したいと思わない」が11.7%、「あまり期待したいと思わない」が24.8%で、合計した「期待したいと思わない(計)」は36.5%となった。
「児童手当の高校生年代までの延長(中学生までだった支給対象が18歳までに)」では、「期待したい(計)」は76.5%、「期待したいと思わない(計)」は23.5%となった。高校生の親(123名)についてみると、「期待したい(計)」は88.6%と、全体(76.5%)と比べて12.1ポイント高くなった。
「児童手当の多子加算(第3子以降の手当が大幅に増額され月額3万円に)」では、「期待したい(計)」は53.9%、「期待したいと思わない(計)」は46.1%となった。子どもが3人以上いる親(101名)についてみると、「期待したい(計)」は78.2%と、全体(53.9%)と比べて24.3ポイント高くなった。
「多子世帯の大学無償化(3人以上の子どもを扶養する世帯では大学の入学金・授業料が減免され実質無償化)」では、「期待したい(計)」は56.7%、「期待したいと思わない(計)」は43.3%となった。子どもが3人以上いる親(101名)についてみると、「期待したい(計)」は85.1%と、全体(56.7%)と比べて28.4ポイント高くなった。
「所得制限のない私立を含む高校の授業料無償化」に75%が賛成
所得制限のない私立を含む高校の授業料無償化について、どのくらい同意できるか聞いたところ、「育児支援策として有効だと思う」では、「非常にそう思う」が31.0%、「ややそう思う」が43.8%で、合計した「そう思う(計)」は74.8%という結果に。「全国一律の制度として実施すべきだと思う」では、「そう思う(計)」は79.6%となった。
高校生の親(123名)についてみると、「育児支援策として有効だと思う」では「そう思う(計)」は81.3%、「全国一律の制度として実施すべきだと思う」では85.4%と、全体(順に74.8%、79.6%)と比べて5ポイント以上高くなった。また、「税金の使い道として不適切だと思う」では、「そう思う(計)」は45.9%となった。
エリア別にみると、「育児支援策として有効だと思う」で「そう思う(計)」と回答した人の割合が最も高くなったのは九州・沖縄(85.1%)、「全国一律の制度として実施すべきだと思う」で「そう思う(計)」と回答した人の割合が最も高くなったのはこちらも九州・沖縄(85.1%)だった。「税金の使い道として不適切だと思う」で、「そう思う(計)」と回答した人の割合が最も高くなったのは北陸・甲信越(54.0%)だった。
子どもに目指してほしい理想の大人1位は大谷翔平
自分の子どもに目指してほしい"理想の大人"のイメージに合う有名人やアニメキャラ、歴史上の人物について聞いた。
有名人では、1位「大谷翔平さん」、2位「芦田愛菜さん」、3位「所ジョージさん」となった。「所ジョージさん」は昨年の5位から上昇しTOP3入りした。
自分の子どもに就いてほしい職業は?
最後に、自分の子どもに就いてほしい職業を聞いたところ、男子の親では、1位「公務員」、2位「会社員」、3位「医師」、4位「研究者」、5位「医療関係職(医師、看護師など除く)」となった。選んだ理由をみると、1位の「公務員」については「収入が安定しているから」、2位の「会社員」については「本人が希望しているから」、3位の「医師」については「人のためになる仕事だから」といった回答が挙げられた。
女子の親では、1位「公務員」、2位「看護師」、3位「医師」、4位「会社員」「薬剤師」となった。選んだ理由をみると、1位の「公務員」については「収入など安定しており、将来も安心できるから」、2位の「看護師」については「どの場所にいても需要がある職業だと思うから」、3位の「医師」については「人の役に立てるから」といった回答が挙げられた。