日本には縁起が良い日や凶日の他、干支、土用の丑の日、春分や夏至といった季節にまつわるものなど、さまざまな暦があります。今回はその中でも「三伏」に注目しました。
本記事では三伏の詳しい意味や読み方はもちろん、やってはいけないこと/やるべきことを紹介します。2024年はいつが三伏なのかや、季語や時候の挨拶としての解説もまとめました。
三伏の意味とは
「三伏(さんぷく)」とは7月中旬から8月上旬頃の、夏の最も暑い時期を意味し、具体的には初伏・中伏・末伏の3つの総称です。
「初伏」とは夏至の後の3回目の庚(かのえ)の日を、「中伏」はその10日後にある4回目の庚の日を、「末伏」はさらにその10日後にある立秋後初めての庚の日のことです。
なお「庚(かのえ)」とは十干(じっかん)の7番目。「十干」は日を10日のまとまりで順番に数えるための10個の呼び名のことです。ちなみに年賀状にも書かれる「辰年」「巳年」などは「十二支(じゅうにし)」と言い、「十干」と「十二支」を合わせた総称が「干支(えと)」です。
三伏は凶日なの? やってはいけないこととは
「庚」を含む十干は、古代中国の陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)に基づいています。この陰陽五行説では、全てのものは「陰」と「陽」に分かれ、そして「木」「火」「土」「金」「水」の5つの要素から成ると考えます。
その考えに沿うと「夏」は「火」、「秋」は「金」にあたるのですが、夏至から立秋にかけては夏の火性に秋の金気が伏せられてしまうと考えられています。さらに「庚」も「金」にあたるため、特に庚日は三伏日として、凶日とされているのです。
三伏は凶日として、種まきや新しいこと、旅行、縁談などは避けた方がいいといわれています。
俳句の季語や時候の挨拶(三伏の候)としても知られる
「三伏」は夏の季語として、俳句にも使われます。同じく「初伏」「中伏」「末伏」も夏の季語です。
また時候の挨拶(季節の挨拶)の、「酷暑の候」と同じ意味で使われます。
例えば「拝啓 三伏の候、貴社におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます」といった形で使用します。
2024年の三伏(初伏・中伏・末伏)はいつ?
ここでは具体的に三伏はいつにあたるのか、2024年の日付をご紹介します。
- 初伏(しょふく)…7月15日(月・祝)
- 中伏(ちゅうふく)…7月25日(木)
- 末伏(まっぷく)…8月14日(水)
ちなみに2024年の夏至は6月21日(金)、立秋は8月7日(水)です。
三伏にやるといいことや、有名な風習とは
お隣の国・韓国では、三伏に参鶏湯(サムゲタン)を食べることが定番です。鶏肉にもち米やナツメ、朝鮮人参などを詰め込んで煮込んだ滋養食です。
この時期は冷房や冷たい飲み物などによって体が冷えていたり、夏バテしていたりということが考えられます。こうした栄養があって消化に良く、温かい食べ物を食べるのは、とても理にかなっていると言えるでしょう。
また「三伏」は前述のように古代中国の陰陽五行説に基づいた考え方なので、現在の中国でもその日は「三伏」や「三伏天」と呼ばれ、さまざまな風習が伝わっています。中でも有名なのは「三伏貼」。これはツボに薬剤を貼り付けることで、呼吸器系の疾患などを和らげるとされる民間療法です。
三伏は夏の厳しい時期を意味する暦
三伏は7月中旬から8月上旬頃の、酷暑の時期を表す言葉です。
この時期は夏の厳しい暑さや冷房によって、夏バテや夏風邪になる人も多いでしょう。三伏には無理をせず、温かいものや栄養のあるものを食べて、自分を労わってあげるといいかもしれませんね。