1本1万円超えの緑茶で世界へ挑戦

静岡県牧之原市にある、1902年創業の高柳製茶。今年で6回目の出展となる同社は、『牧之原の雫茶スパークリング』『牧之原の雫茶プレミアムペットボトル』を紹介していました。

スパークリングは、発泡性の緑茶飲料(ノンアルコール)。静岡県牧之原産の上質な深蒸し「一番茶葉」を独自の製法で抽出し、炭酸とバランスよく混ぜ合わせました。爽快なのどごしや清涼感、ビールのような香ばしさに加え、高級緑茶の甘みや旨味を感じる味わいが特徴です。

プレミアムペットボトルは、急須を使わずに高級茶を味わえる商品。常温では香りと上級茶ならではの緑茶の旨味を、冷温ではのどごしや清涼感を楽しめます。ペットボトルにしたことで、持ち運び等の利便性向上とコストカットを実現しました。

もともとは茶葉の生産者だったという高柳製茶。現在は2次加工を行っており、牧之原市の生産者と協力しながら年間約20万キロのお茶を生産しています。こうした商品開発を行う背景には「100gあたり1000円以上の価格のお茶が、年々売れなくなっている」という経緯があると、同社の髙橋裕尚(たかはし・ひろなお)さんは言います。

「『一番茶』と呼ばれるものが生産者の収入源の60%以上になっていますが、それらが売れないと収入が減ってしまうので皆さん辞めてしまうんです。だからまずは飲んでいただこうという思いで、約6年前から開発を始めました」

現在は海外の和食レストランや、国内の寿司店に卸しています。今後もBtoBを中心に展開していきたいと言います。

環境へ配慮した100%植物由来のベーコン

オランダのグランチー社は、100%プラントベース(植物由来)のベーコンを主力商品とする企業。現在展開している商品は薄切り、ストリップ、調理済みの3種類で、クイックサービスレストランなどの飲食店で利用されているほか、小売店でも販売されています。

調理方法は通常のベーコンと同じで、フライパンなどで焼くだけ。味もほぼベーコンです。

この商品の開発には約3年かかったそう。「燻製してもなかなか味や香りがつかず、試行錯誤を繰り返しました」と出展者は言います。

こうした代替タンパク質が求められている理由として、「環境への配慮、健康への配慮、動物福祉の3つが挙げられる」と言います。中でも一番大きいのは「環境への配慮」なのだそう。出展者は「日本の中には代替タンパク質に興味を持っている人が多いと感じます。まだまだこれからですが、今後の可能性があると思っています」と語りました。

砂地でも育つ古代穀物で食糧危機に備える

オランダのシンフォニオ社が紹介していたのは、アフリカ・サハラ砂漠南縁部サヘル原産の『フォニオ』。5000年以上前から栽培されてきたと言われており、古代穀物と呼ばれています。フォニオは干ばつに強く痩せた砂地でもすぐに育ち、さらにタンパク質や繊維質、ビタミンやミネラルも豊富です。

代表のソランジさんによると、フォニオは世界的な食糧危機を救う切り札として注目されていましたが、コロナ禍を通じて環境にも健康にも良い穀物として再度注目されるようになったと言います。

グルテンフリーで風味も豊かなフォニオ。パンケーキやスムージー、おかゆ、ベーカリー商品などさまざまな商品に展開できるほか、コメやクスクスの代わりとしても使えます。

スウェーデンからサスティナブルブランドが日本初上陸

「TRY SWEDISH!」は、スウェーデン企業の国際化と、スウェーデンへの投資を支援する「ビジネススウェーデン」主導のもと、日本やカナダ、ドイツ、韓国をはじめとする14の国や地域で運営されているプログラムです。スウェーデンの豊かな食文化を広く知ってもらうため、食を取り巻くスウェーデン流のライフスタイルについて、WEBサイトやSNS、展示会やイベントで情報発信を行っています。

スウェーデンのブースでは、このプログラムの一環としてスウェーデン料理をその場で調理し提供していました。

そのほかスウェーデンで長年愛されている紅茶ブランドの商品や、必須アミノ酸が豊富なオーツ麦由来のプロテインなど、新たに日本に上陸するサスティナブルブランドも紹介されていました。

世界が注目する今後の食事情

前年度よりも来場者数が増え、76,183名が訪れたFOODEX JAPAN 2024。改めて食への関心や注目の高さがうかがえました。中でも「安定供給」「フードロス削減」などを目指す「サスティナブル」の観点から、フローズンフードや代替食品に注目が集まりました。
FOODEX JAPANは今後も、海外の食のトレンドや農業経営の新たなヒントを得る機会としても、ますます注目が集まることでしょう。
次回は2025年3月11日(火)~3月14日(金)、東京ビッグサイトで開催予定です。

(編集協力:三坂輝プロダクション)