カルビーが3月18日に発売する「堅あげポテト 幻の江戸味噌」は、江戸味噌の味わいを再現した新商品。カルビーと三國清三シェフが共同で取り組んできた“日本を愉しむプロジェクト”の集大成となる。
発売に先駆けて都内で7日に開催されたイベントでは、これまでのコラボの経緯について担当者が説明。また三國シェフが考案した「堅あげポテト 幻の江戸味噌」を使ったオリジナルメニューも披露した。
■幻の江戸味噌、復刻へ
「堅あげポテト 幻の江戸味噌」は、戦後70余年の間、世の中から姿を消していた江戸味噌を復刻してフレーバーに採用した新商品。雑味が少ない、甘みと豆の旨みが感じられる、塩味の角が丸い、といった江戸味噌の特徴を再現したうえで、かつおだしや胡椒を隠し味にして、厚みのある味わいの堅あげポテトに仕上げた。
カルビーではこれまで、三國シェフをフードアドバイザーとして招いたコラボレーション企画 日本を愉しむプロジェクトを展開してきた。同プロジェクトについて、カルビー マーケティング本部の福原椋太氏は「日本伝統の食材や食文化を皆さんに美味しく楽しんでもらいたいという思いのもと、これまで日本各地の素材をカルビーのお菓子にしてお届けしてきました」と振り返る。
その第6弾となる新商品は、江戸味噌の復刻を手がけた東京江戸味噌が監修に加わった。カルビーに東京江戸味噌を紹介した三國シェフは、その真意について「ここ東京は古くから農業が栄えた土地でもあります。江戸野菜をはじめ、米、フルーツ、味噌、醤油と、なんでも食材が揃ったんですね。そこでプロジェクトの最後は、やはり東京の味噌を紹介して締めくくりたい、という思いがありました」と説明。フランス料理にも積極的に味噌を取り入れているシェフならではの発想が新商品の開発につながったことを明かす。
このあと、東京江戸味噌を運営する日出味噌醸造元の河村浩之社長が登壇した。河村社長によれば、社内に大事に保管されていた戦前の技術書をもとに江戸味噌を復刻したという。
ところで現代人には聞きなじみのない江戸味噌。当時の人は、どんな料理に使っていたのだろう?「そもそも江戸時代は260年あまり続きますが、その前半の200年くらいは醤油が普及していませんでした。ということで、この江戸味噌で、ほぼ全ての料理の味が作られていたことになります。いわば、江戸の味覚の中心ですね」(河村社長)。
その味については「真っ赤な見た目をしているので辛そうなんですが、実際は甘味が強く、それでいて雑味がありません。スッキリとしていて調味料としてのバランスが良い。甘み、旨み、塩みがほどよく、これがあれば他の調味料は要りません」と紹介。現代人の生活に身近な味に例えると、うなぎ、天ぷらなどにかける江戸前の甘辛いつゆの味に似ているという。そんな万能の江戸味噌も、戦時中には”贅沢品”と見なされ製造が中止。製造の過程でたくさんの米を使うことが理由だった。そして、いつしか世の中から忘れられた存在になってしまったそうだ。
カルビーでは「堅あげポテト 幻の江戸味噌」を完成させるまで、相当の苦労を重ねたという。福原氏は「三國シェフのオフィスまで何度もお伺いしましたね」と苦笑い。視線を送られた三國シェフも「何度もダメ出ししたからね」と応じる。「私は”味噌が来すぎている”とダメだな、と思っていたんです。最初からガツンと来ると、途中で飽きてしまう。ひと袋を食べ終えたときに、江戸味噌を感じられるくらいが良い」と三國シェフ。ポテトチップスは子どもからお年寄りまで食べるので、万人に受ける味にしないといけない、そこが難しかったよね、として開発の苦労をねぎらった。
完成品について、河村社長は「食材に混ぜるとスーっと背景に溶け込むような江戸味噌をどう表現されるのか、とても興味がありました。味噌を前面に出せば、サバの味噌煮を食べているような気持ちになってしまう。味噌をパクパク食べるような味がしたらNGだな、と思っていました。でも完成品は江戸味噌の独特の雰囲気が感じられるし、本当に良い具合に仕上げてもらったと思います」とし、ホッとした表情を見せる。
最後に、三國シェフ自ら考案したオリジナルメニューが披露された。そのタイトルは「TOKYO Xのエスカロープ 江戸サラダと『堅あげポテト 幻の江戸味噌』添え」。
料理を前にして、福原氏は「見た目も華やかな料理ですね。ふんだんに盛り込まれている堅あげポテトの食感を楽しみながら、3月が旬の東京野菜を食べることで、春の訪れを舌でも感じることができそうです」とコメント。三國シェフは「普段、ポテトチップスを料理に使うことはありません。でも、こういうレシピを紹介すると皆さん作りたくなるでしょう?」とし、これで堅あげポテトの販売数が伸びてくれたら嬉しいね、と笑顔を見せた。