『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。クラシックカーを冬の間眠らせるにはそれ相応の準備が必要だ。今回はマッシモ・デルボが、自宅ガレージに6台を格納する毎年恒例の儀式を紹介する。
秋が終わって冬に向け、クラシックな車たちを冬眠させる時期がやって来た。この冬は北イタリア地方の天気が突然、温暖な気温から氷点下、しかも雪、それも大量の降雪が予想されたことにより、事態はより複雑になった。私の冬支度は主に、それぞれの車をしっかり運転してすべての箇所を暖め、冬の間に必要な作業があればメモを取っておくことだ。
ガレージに戻った私は、タイヤのサイドウォールの変形を防ぐため、空気圧を3.5bar(約50psi)まで上げた。そして、500SL以外のすべての車のバッテリーを外した。SLに関してはECUのメモリーが失われるのを防ぐため、バッテリーを繋いだままでバッテリーコンディショナーを使用した。今年これを行うのは、SLのバッテリーが5年前のもので寿命が来ていることが明らかだからだ。春になれば、もう交換することになるだろう。
他には、よくからかわれるちょっとした作業がある。ワイパーブレードを守るために、数年前からワイパーアームの下にワインのコルクを置くことにしているのだ。ブレードがフロントガラスに押されて歪むのを防ぐためだ。ガレージを訪れる友人たちは皆、このアイデアに興味津々だ。でも、少なくとも私の知る限りでは、誰も真似をした者はいない。ともあれ、話のネタにはなるし、ワインをもう1本開けるいい口実にもなる!ウィンドウは換気のために下げたままにし、トランクリッドも含めてドアは完全に閉めないでおく。各部のシーリングが圧迫されたままにならないように、そっと押し込むだけにしておくのだ。
最も難しい移動のタスクに、それぞれの車をどの場所に停めるかを決めることがある。我が家のガレージは、6台分(幅が3台分×奥行きが2台分)で、ドア付きの出入口が3つある。そこには、普段使い用の2台のファミリーカーも停める必要がある。明らかに、シュコダたちを前列に停める必要がある。妻の車が最も車幅が広いので、いつも一番良い場所を占有することになる。ひとつしかないリモコン電動ゲートを独り占めだ。彼女の車の後ろには、できるだけ大きな「バッファゾーン」を確保する必要があるため、そこには必然的に小さな1972年のフィアット500Lを入れることになる。(言い訳というか表向きの理由としては、「犬や子供を乗せやすいスペースを確保するため」なのだが…)
2列目には、メルセデス500SLを含む私の宝物たちが並ぶ。一番狭いドアの奥には、メルセデスのW110 230とS123 240TDがひっそりと佇む。どちらを前にするかは、理由によって変える。どちらを先に整備するか、というか大抵は、どちらを先に冬眠させるかによって変えている。
最後に、それぞれの車に専用の青色のコットンカバーをかけて終了。するとガレージはまるで青い繭の託児所のようになる。紫外線の影響を受けないように暗くしてあるが、内部の温度が16℃を下回ることがないほど断熱性が高いため、暖房は必要ない。除湿機も置いてはいるが、車がかなり濡れたまま帰ってきたときにしか使わないので、あまり出番はない。
ガレージ前のエリアはさほど広くないので、それぞれを正しい場所に停めるためには、車たちを何度も移動させる必要がある。言ってみればマシンの椅子取りゲームのようなもので、いつも混乱してしまう。でも正直言って、私はそれが大好きだ!
文:Massimo Delbò