五感を刺激する共創拠点 そのデザインとは?
RICOH BIL TOKYOを訪れたゲストを迎えるのは、白に統一されたエントランス。流木で形作られたアートが鎮座する空間を抜けた先は、“究極の対話”を前にリコーとゲストが最初の会話を交わす「Climbers Lounge」につながっている。
また四方の壁と床面へのプロジェクションマッピングが可能な次世代会議空間「RICOH PRISM」では、さまざまなデジタル技術を駆使した演出によって創造性を引き出し、対話をよりクリエイティブなものへと導くとのこと。その他の空間でも、映像や光、音、香りなど五感を刺激する空間デザインを実現することで、究極の対話へとつなげるとする。
RICOH BIL TOKYO内には、AI技術を活用した過去事例を展示しているデモンストレーションエリアも設置。拡大された敷地面積を活かし、拠点内を自ら動く自律走行ロボットや、頭上のレールを移動し撮影を行うリコーの360度カメラ「THETA」などを実際に見ながら、顧客が抱える課題に合ったDXの方法を探っていくことができるという。
さらに新拠点の設置にあたっては、現在研究開発中の空間3Dデータ利活用AIを用いて、拠点内の3Dモデルを作成したとのこと。半径5mの範囲をワンショットで撮影する開発中デバイスを用いて空間データを取得し、BIMとの連携や設備管理などに活用しているとする。
香りのデザインにも約3か月を費やす徹底したこだわり
加えて、具体的な議論を開始した際に使用するクローズドな会議室や、小規模なものづくりを想定したファブスペースも用意されている。担当者によるとRICOH BIL TOKYOは、共創を“登山”に例えて構想されているといい、会議室には山にちなんだ名前が付けられている。ゲストが最後に立ち寄る空間は「Base Camp」と名付けられ、リラックスできる空間での対話はもちろん、バーカウンターを介したよりラフな会話も行われるという。
想像力が最大限まで引き出された中での対話を実現するため、五感すべてを刺激するよう徹底的にこだわられた空間デザイン。室内を満たす香りには、廃棄されるすだちを精油したものを使いながら、より心地よい香りを目指すためおよそ3か月をかけて開発したものが用いられているという。
“はたらく”に歓びを与えるための価値共創空間へ
2月1日に開所したRICOH BIL TOKYOにおいて、活動のコアメンバーは約20名とのこと。初年度は360社の来場を目標に掲げ、今後5年間で新たな価値創造と社会実装を100件実現することを目指しているとする。
リコーの入佐孝宏氏は、同社が掲げる理念「三愛精神」にもある“はたらくに歓びを”との言葉を引用し、「現時点で人が時間を使っている作業をデジタルの力で減らすことで、これまでできなかった仕事や、より高い創造性を必要とする仕事に注力し、歓びにつながる働き方を実現するサポートをしていく」とする。
またリコー 代表取締役会長であり、RICOH BIL TOKYOではエグゼクティブアドバイザーを務める山下良則氏によると、同社の技術者もこの拠点で執務を行う時間をできるだけ増やしたいとしており、山下氏自身の執務室も設置しているとのこと。共創拠点のリニューアルにより「会話の中で改革の糸口を見つける、あるいはそれに気付くためのお手伝いをしていきたい」と語った。