味わい深い木枠にガラスの引き戸、時を重ねたような庇。ちんまりとして懐かしい佇まいの「Cafe×Hakko Me Time」。もともと店舗だったところを居抜きで引き継いだこともあってか、オープン3ヶ月ながらすっかり風景に溶け込んでいます。
一歩入ればペンダントライトの柔らかな灯りが店内を照らし、あちこちに飾られた籠や稲穂、木のオブジェと相まって、車道に面していながらも隔絶された別空間のようでホッと心が和みます。
リラックスして自分の時間を楽しんで欲しいとの思いから、家具類だけでなく使用する器もなるべく木製にこだわり、BGMもヒーリン効果のありそうな自然の音をセレクトしているそう。
メニューは、店名にもある通り発酵をテーマにしたランチやスイーツ、パン派にも嬉しいモーニング、そして店主・小林さんおすすめのコーヒーです。
日替わりの発酵ランチ(税込み¥1,200)は、手作りの塩麴やしょうゆ麹など様々な発酵調味料を使った主菜・副菜にもっちり炊き上げた玄米のワンプレート、これに具沢山の汁物とこれまた手作りの甘酒がセットになっています。取材にお邪魔した日のメニューはこちら。
野菜多めで見るからに体に良さそうです。プレート真ん中、特にファンが多いという豆腐のしょうゆ麹漬けは、濃厚でクリーミー、大豆や麹の旨みがギュッと凝縮されてコクがあり、いつも食べている豆腐とは別物のような一品でした。おひたしやキムチ、スープ、肉巻きなど、一見すると慣れ親しんだ身近なお料理も、発酵のひと手間が加わることで旨みやコクが増していて、発酵食品のおいしさと奥深さをあらためて感じました。
また、甘酒は砂糖を使わず米に麹を加えて発酵させたのみで、ほんのりとした甘みが特徴。熱処理していないため、酵素やビタミンなどの栄養も摂取できるのだそう。
無類のあんこ好きの私は、デザートにもぴったりの発酵あんこの白玉(税込み¥650)もいただきました。こちらも砂糖不使用、柔らかく炊いた小豆と米麹で発酵させたあんこは、粒あんとこしあんの中間のようで、トロリとして優しい甘さ。アイスとの相性も良くペロリと完食しました。
店主の小林さんは、数年前、自身が体調を崩した際に何気なく食事に発酵食品を取り入れたところ、優れなかった胃腸の働きや体調が改善したことから、あらためて発酵の力に注目したと言います。「食事が全てではないですが、1人でも多くの方に発酵の素晴らしさを知ってもらい、生活に取り入れていただくことで、健康な心と体を作るお手伝いができればと思います」。発酵食品に関するワークショップやイベントなども企画中とのことなので、気になる方はHPやインスタグラムをチェックしてみてください。取材が終わる頃には、何だか私も心と体が軽くなって、いい気分になりました。
店舗紹介
【Cafe×Hakko Me Time】
■住所:〒250-0005 神奈川県小田原市中町1-2-22■営業時間:9時〜16時(定休日:月曜日、第2土曜日)*P2台