米AMDが対中輸出規制に準拠するべく開発を進めていたというデータセンター向け「Instinct MI309 GPU」において、結局アメリカが敷く対中輸出規制に準拠できず認可が得られなかったようだ。Bloombergなどが匿名を条件とした米当局者の話として報じている。
アメリカは増大する中国の脅威に対応するべく、高性能な先進半導体の輸出について規制を展開しており、主にデータセンター向けのAI用途アクセラレーターが対象に指定されている。AMDに競合するNVIDIAに対しても「NVIDIA H100」シリーズ等で規制が行われているほか、ゲーミング用途からも転用できる「GeForce RTX 4090」なども対象になっている。
これら当局の動きを受けて、性能を微妙に低下させた“輸出規制準拠版”の開発が各社で行われている。今回AMDはデータセンター向けのInstinct MI300 GPUの性能を少し引き下げた「Instinct MI309 GPU」を用意したようだが、依然として高性能すぎたために認可が得られなかったようだ。
ちなみに現行の輸出規制では、半導体の性能を総処理パフォーマンスとしてスコア化する基準がとられており、具体的にはFP8で600 TFLOPSを超えると中国企業向けに販売できなくなる。