第50期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は予選が進行中。3月5日(火)には計2局が行われました。このうち、東京・将棋会館で行われた第4ブロックの谷合廣紀四段―西山朋佳女流三冠の一戦は106手で谷合四段が勝利。相振り飛車の力戦を制して次回戦進出を決めました。

勝ち上がりまで4勝

本予選は20人前後からなるトーナメントを勝ち抜いた8名が挑戦者決定トーナメントに進出するもの。西山女流三冠は富岡英作八段に勝っての登場です。振り駒が行われた本局は先手の西山女流三冠が初手に三間飛車を表明。対する谷合四段は向かい飛車で応戦しました。

オーソドックスな相振り飛車に進むかと思われたところで中央に角を踊り出したのが西山女流三冠の工夫。手順にこれを右辺に引き付けて敵玉への圧力としました。仕掛けをめぐる間合いの計り合いは続きますが、玉を中住まいに構えているのも先手の現代的な構えです。

谷合四段が抜け出す

戦機が熟したところで西山女流三冠が動きます。手にした歩を打って後手の飛車先を逆襲したのは盤面全体を戦場と見る柔軟な指し方でしたが、本局はここから後手の谷合四段の秀逸な反撃を見ることに。この歩を取って強く応じたのが読みの衝突を恐れない対応です。

右辺での激しい競り合いのすえ谷合四段は決め手をつかみます。自陣四段目に桂を打って銀取りとしたのが味のよい攻めで、手順に先手玉の急所にクサビの歩を打ち込んで優勢を確立しました。終局時刻は17時47分、自玉の受けなしを認めた西山女流三冠が投了。

感想戦では中盤は先手の模様がよかったものの、右銀まで繰り出して押さえ込みに出たのが先手のつまずきの始まりとされました。勝った谷合四段は次戦で八代弥七段と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 谷合四段と西山女流三冠が同星で競った第66期三段リーグ(2020年)はいまも語り草となっている

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