京都丹後鉄道を運行するWILLER TRAINSは5日、KTR8500形のメディア向け試乗会を実施した。かつて特急「ひだ」「南紀」で活躍したキハ85系が譲渡され、京都丹後鉄道で復活。メディア向け試乗会では天橋立駅から西舞鶴駅まで、おもに宮舞線を走行した。
京都丹後鉄道の路線は宮福線(福知山~宮津間)、宮舞線(西舞鶴~宮津間)、宮豊線(宮津~豊岡間)で構成される。このうち宮舞線・宮豊線はかつての国鉄宮津線で、JR西日本の発足後、1990(平成2)年に移管され、北近畿タンゴ鉄道の路線となった。
現在、北近畿タンゴ鉄道は鉄道施設を保有する第三種鉄道事業者となり、WILLER TRAINSが第二種鉄道事業者として京都丹後鉄道の列車を運行。沿線に天橋立など観光名所を抱えることから、特急列車や観光列車が多く運行されている。
KTR8500形の種車となったJR東海のキハ85系は昨年7月に引退したが、このうち4両を「タンゴ・エクスプローラー」の代替車両として譲り受けた。ただし、京都丹後鉄道で営業運転に就く車両は「KTR8501(元キハ85-12)」「KTR8502(元キハ85-3)」の1編成2両。「KTR8503(元キハ85-6)」「KTR8504(元キハ85-7)」は部品取り車両になる。
車内はハイデッカー構造を基本としている。大型の窓と相まって、京都丹後鉄道の沿線の風光明媚な景色を存分に楽しめる。
キハ85系を譲り受けた経緯に関して説明もあった。特急予備車だった「タンゴ・エクスプローラー」の修繕等に必要な部品の多くが生産を中止し、2017(平成29)年10月の時点で修繕が不可能になったため、「タンゴ・エクスプローラー」は使用休止に。車両を保有する北近畿タンゴ鉄道が代替車両を探し、キハ85系に白羽の矢が立ったという。
KTR8500形の内外装は基本的にJR東海で活躍した当時の姿を踏襲しており、今後も塗装を含めて大きく改造されることはないとのこと。WILLER TRAINS代表取締役の飯島徹氏は、改造を最小限にとどめた理由について、「キハ85系が鉄道ファンにも大変人気の高い車両」である点を挙げた。
メディア向け試乗会が行われた3月5日、KTR8500形は天橋立駅を12時16分に発車し、宮舞線を走行。途中、奈具海岸をはじめ、1924(大正13)年完成の由良川橋梁も通り、13時1分、西舞鶴駅に到着した。同駅付近で「タンゴ・エクスプローラー」の姿も確認できた。
KTR8500形は3月16日のダイヤ改正後、おもに丹鉄線内の特急「たんごリレー」で運用に就き、宮福線・宮豊線・宮舞線の全線に姿を見せるという。京都丹後鉄道のサイトに公開された3月16日以降の時刻表でも、特急「たんごリレー」や一部の快速・普通列車で「丹後の海車両 又は KTR8500形車両で運転」と明記されている。
ただし、毎日運転ではなく、土日を中心に運用に就く予定。その他、イベント開催時の臨時列車にも使用する予定とのことだった。一方、「タンゴ・エクスプローラー」は廃車を予定しているが、実施時期については未定とされた。