WOLF HOWL HARMONYが語る「クオリティの高い」音楽、4人で歌う意味

LDH史上最大規模のオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』の第二章を経て結成された、WOLF HOWL HARMONY。2023年8月にリリースした「Sweet Rain」では、『Billboard Japan TOP 100』で3位を記録するなど、デビュー時からその名を轟かせている。

そんな彼らが2月14日に『Frozen Butterfly』をリリースした。4人の個性が煌めく1曲には、「夢を見ることは素敵なんだ」というメンバーの想いが詰めこまれている。本稿では、「Frozen Butterfly」について語ってもらうと共に、それぞれがアーティストを目指したきっかけや音楽のルーツなどについて語ってもらった。

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ーまずは、アーティストを目指したきっかけからお伺いできますか。

RYOJI:中学生の頃、携帯を初めて手にして、好きなアーティストのMVを見るようになったのが、きっかけかもしれないです。パソコンがない家庭だったので、それまでは家にインターネット環境がなくて。YouTubeにアクセスできるようになり、家でかかっていた洋楽のMVやダンス映像を見ていくうちに、音楽やダンスがどんどん好きになっていきました。そのうち、MVの主人公を自分に置き換えて妄想するようになったんです。なかでも好きだったのが、クリス・ブラウン。彼は歌もダンスもラップもできるので、僕もそういうアーティストになりたいと強く思いました。

RYOJI(Photo by Jumpei Yamada)

SUZUKI:僕は中高生の頃、周りのみんなが進路を決めていくなかで、音楽以外にしたいことがなかったのが大きいですね。もともと野球をしていたので、小学生くらいまでは「プロ野球選手になりたい」って言っていたんですけど、自分にとって野球は、ただ楽しくやりたいことだった。でも、音楽は違ったんです。歌ならどんどん上手くなりたいし、アーティストとして大きいステージにも立ってみたい。大好きな歌うことを仕事だって言えるって、すごくいいことだと思ったんです。

ーHIROTOさんは、いかがですか。

HIROTO:高校3年生くらいのとき、友達にGENERATIONSさん初のドームツアー『GENERATIONS LIVE TOUR 2018 ”UNITED JOURNEY”』」に連れていってもらったのが、きっかけですね。それまでもライブには行ったことがあったんですけど、ドーム規模の大きなライブは初めて。入ったときの迫力や登場したときのワァって感じ、かっこよさや歌の上手さに圧倒されちゃって。そこからLDHにハマって、友達と一緒にアーティストになると決めて、1週間後にはEXPGというLDHがやっているダンスボーカルスクールに通い始めました。もともと看護師を目指して、そっちに特化したコースがある高校に通っていたので、進路に迷ったこともあります。ただ、「20代半ばになってもオーディションに受かってなかったら、アーティストになるのは諦めよう」と期限は決めていましたね。

GHEE:僕はザ・ウィークエンドの「The Hills」を聴いたとき、歌詞の意味が全然わからなかったのに、世界観に食らって「かっこいいな」と思ったのが単純なきっかけかな。もともと音楽は好きだったので、歌で自分の表現をしたいという想いは昔からありました。友達とカラオケに行ったとき、「すごい伝わる歌いかたをするね」とか「上手」と言ってもらえて、そこから「アーティストやりたいかも」と思い始めました。

ー続いて、それぞれの音楽のルーツをお伺いできますか。

GHEE:音楽を好きになったきっかけは、ザ・ウィークエンドですかね。テイラー・スウィフトやジャスティン・ビーバーなんかも聴いていました。あとは、オマリオンとか。ダンスミュージックスタイルになったオマリオンと出会い、そこからディグって2000年代初期の「Ice Box」とかを聴いてハマっていった感じでした。最初はダンスミュージックや重低音ばかりを聴いていたんですけど、だんだんとR&Bやラップを好きになり、音楽にのめりこんでいった感じです。

GHEE(Photo by Jumpei Yamada)

SUZUKI:小さい頃は、テレビから流れてくるような流行りのポップスをメインで聴いていました。あとは、親戚のお兄ちゃんとお姉ちゃんがけっこうヒップホップを聴いていたので、その影響もありますね。でも、自分にとって一番大きかったのは、小学生のときに聴いたEXILEさんの「Lovers Again」。初めて聴いたときに、「日本にもこんなかっこいい音楽をやっている人たちがいるんだ」と思って。初期EXILEの良さを活かしたR&Bテイストでありながら、日本語を綺麗に音楽にしていて、すごく刺さったんです。そこから、R&Bやヒップホップなどを、どんどん聴くようになっていきました。

HIROTO:僕は小さい頃からずっとJ-POPを聴いていて、小学生のときはジャニーズにすごくハマっていました。なかでも好きだったのは、嵐さんやHey! Say! JUMPさん。ずっと車のなかで聴いていましたし、今でもすごく聴いています。移動やパフォーマンス前には、必ずJ-POPを聴くくらい、J-POPが好きですね。

RYOJI:僕はブラックミュージックがルーツだと思います。小さいときから、車のなかには母が好きなボブ・マーリーやエミネム、アッシャー、ニーヨが流れていたので。いろんなアーティストを辿っても、R&Bやジャズ、ヒップホップっていうのは、すごく繋がってくる部分でもありますしね。とはいえ、Mr.Childrenさんとか、ブラックミュージック以外の音楽も聴きますよ。ジャンル問わず、いろいろな音楽に触れてきたからこそ、音楽自体を好きになれたように思います。

ーみなさんは「音楽と楽曲のクオリティの高さ」を強みの1つとしていますよね。そもそもクオリティが高いとは、どのようなことだと考えていますか。

SUZUKI:ひとつひとつに妥協がないというか。ひとりでも「これくらいでいいか」と思う人がいると、グッとクオリティが下がってしまうので。

HIROTO:レコーディングのとき、毎曲毎曲で自分の持っている力を全部出し切ることが大事なのかなって感じています。やることを頭にいっぱい詰めこんだら、パンクしちゃっていつも通りに歌えなくなってしまうこともあるんですけど、そのなかでどれだけ自分の殻を破って新しい引き出しを見つけられるか、実力をしっかり発揮できるか。一生残る作品ですからね。

HIROTO(Photo by Jumpei Yamada)

GHEE:後からパソコンで音程やピッチを直すことは、いくらでもできますが、この4人で歌う意味が大事だと思っているので。だから、それぞれが歌うパートを何度だって試行錯誤するし、歌うときにはピッチをなぞるだけではなく自分らしさを乗せる。どの楽曲も僕たち4人にしか歌えないって、自信を持って断言できます。

SUZUKI:僕たちはもちろん、スタッフやファクトリーのみなさんも、それぞれが完璧を求めているからこそ、生み出される作品のクオリティも高くなるんじゃないかなと思っています。結果として、何年先でも聴き続けられるような楽曲になっていることも大事ですよね。ただ曲を集めて歌うだけでは、それはなしえないと思うので。僕たちも制作段階から入らせていただき、ファクトリーのみなさんと一緒に意見交換をしています。

RYOJI:単純に僕たちは、ハイセンスな楽曲をリリースしているグループだと思われたいので。イケてるグループとして活動していくために、与えられたパートには細かく向き合っていきたいですし、自分が完璧じゃないからこそ完璧を求めたい。今までの自分のベストを更新し続けていけば、もっと成長できると思うので。ハイセンスな楽曲を作ろうと思えば、クオリティの高い音楽になっているんじゃないかな。

ーでは、どのような作品がハイセンスだと思いますか。

RYOJI:そうっすよね(笑)。自分で話しながら、そうなるなぁって思ったんですけど……。結局は、たくさんのかたに聴いていただいて、結果を出せることが「ハイセンスな楽曲だった」ということになるような気がします。チャートインする作品は、めちゃくちゃいい曲ばかりですし、チャートに入っている理由がすごくわかる。ただバズったんじゃなくて、本当にいいところがあって、音楽として評価されているんだなって。

SUZUKI:僕はいい意味で聴いている人を裏切ることが、すごく大事なのかなと思っています。1曲目と2曲目が違うテイストっていう意外性も大事だと思いますし、1曲のなかで意外性を生み出すことも大事。想像通りにいくと、たぶん次って聴かないと思うんですよね。何度も聴きたくなる曲って、「もっと聴きたい」と思わせる何かがあるはずなので。自分のなかでは、今のチャートに残っている曲も思い通りにいってる曲はないように感じています。「こんな展開⁉」とか「そこの音に行くんだ!」とか、いい意味で裏切られる部分がすごく多い。そういうことをし続ける人たちって、やっぱりかっこいいですし、人が惹かれていくのかなって思います。でも、思い通りに行くからこその安心感もありますよね。ずっと残っていくためには、安心感+何かが必要なんじゃないかな。

SUZUKI(Photo by Jumpei Yamada)

RYOJI:懐かしいものと新しいものの融合というか。ボーカロイドの楽曲が流行ったのも、変なコード進行を使うような意外性がありながら、音楽として成り立っていたから、いろいろなかたに知れ渡ったわけじゃないですか。聴き馴染みがあるものにプラスして、個性や意外性は必要なんだろうなと僕は思ってるので。まさにネオな音楽をWOLF HOWL HARMONYでも、届けていけたらいいですね。

ー今作の「Frozen Butterfly」は、まさしく安心感+何かを実現した1曲になっていますよね。なぜ”夢を見ることは素敵なんだ”というコンセプトになったのでしょうか。

RYOJI:僕たちって、オーディション期間から今に至るまでで、すごくドラマがあるんですよ。SNSでは様々な意見をいただいたり、ポイント審査でぶっちぎりの1位通過をしたり、同時にデビューしたグループのなかではbillboardチャートでトップだったり。そういう経験を経た今の僕たちだからこそ放てるメッセージを考えたときに、これだよねってなったんです。心の奥に夢を眠らせて「Frozen Butterfly」の世界観は、オーディション中の僕らと重なる部分がありましたし、受け取ってくれる人にも1番響くんじゃないかなと思いました。

ーファクトリーには、どのような要望を出しましたか。

SUZUKI:一人ひとりの特性というか、美味しさが出る楽曲にしたいと伝えました。GHEEにラップでがっつりかませるパートを作ったり、RYOJIに倍音が活かせるパートを作ったり。作る段階から「ここは○○が歌うよなって見えるようにしていきたいね」とおっしゃってくださって、僕らからも「こういうパターン試していいですか」と意見を出しながら作っていきました。各々が持っている感性をアウトプットできる環境があるからこそ、いろいろ試せますし、いいものが出たら「それ、いいね!」と取り入れてくれるので。今回もすごく上手いこといったなと思います。

ー「Frozen Butterfly」を聴いていて一番引っかかったのがサビだったのですが、ここはユニゾンという認識であっていますか。

RYOJI:ユニゾンですね。しゃがれた声質が得意なGHEEとSUZUKIがメインで、僕は自分の倍音を活かして音圧を太くする役目。高い声質が武器なHIROTOは、ブレッシーなハイ成分を足しています。みんなで同じように声を出すのではなく、4人で上手く分担しているユニゾンなので、「これはユニゾンか?」となる気持ちがすごくわかります。

SUZUKI:それこそ、それぞれの個性が活きる歌いかたをしていて。レコーディングやミックス作業のとき、一人ひとりの歌を聴いたら全然違っていたんですよ。でも、4人それぞれの声質や歌いまわしが違うからこそ、混ざったときに他にない感じになるというか。混ざったら混ざったで、すごくバランスがいいなって自分らも感じています。そこは本当に強みですね。

ー今のWOLF HOWL HARMONYは、どのような楽曲やテーマに挑戦したいと思っていますか。

HIROTO:これまで、けっこう疾走感ある楽曲が多かったので、しっとりしたバラードもやってみたいですね。

GHEE:僕はラップ曲をやりたいです。今のところ歌や甘い感じのイメージが強いと思うんですけど、実は4人中3人の強みがラップなので。

RYOJI:カバーで1回やったよね。YouTubeの企画やったBALLISTIK BOYZさんの「HIGHWAY」みたいな、ああいう雰囲気の一人ひとりがバースを蹴っていく個性丸出しの曲とか、たしかにやってみたい。ラッパーとシンガーの掛け合いみたいな感じ。

SUZUKI:僕もヒップホップやR&Bが好きなので、バチバチなヒップホップをやりたい。本当に好きなジャンルだから、けっこうエゴが強くなっちゃいそうな気もするんですけど、1回は自分のなかにある好きなものを思いっきり出してみたいです。

GHEE:意外性のあるところだと、Stray kidsさんの「CASE 143」みたいな、ああいう感じの曲もやってみたいな。普段はふたり(SUZUKI・HIROTO)がメインなので、ラッパーがサビを歌うのも面白そうだなって思います。

<リリース情報>

WOLF HOWL HARMONY from EXILE TRIBE

2nd Single『Frozen Butterfly』

発売中

https://wolfhowlharmony.lnk.to/frozenbutterfly_dlstr