ザ・クロマニヨンズが、17枚目のオリジナルアルバム『HEY! WONDER』を引っ提げて、2月16日(金)埼玉県HEAVEN'S ROCK 熊谷 VJ-1を皮切りに全43公演に及ぶ全国ツアー〈ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024〉を行っている。このレポートでは、ツアー前半戦のハイライトともいえる2月29日に東京Spotify O-EASTで行われたライブの模様をお届けする。
1階フロアはもちろん、2階席までギッシリ超満員となった会場に、オープニングMCが「渋谷のクレイジー・ロックンロール・ピープル! ロックンロールの準備はできたか!?」と煽ると、「ウォォォ~!」と怒号のような大歓声で応えて、主役の登場を待ち構えるオーディエンス。真島昌利(Gt)、小林勝(Ba)、桐田勝治(Dr)に続き甲本ヒロト(Vo)がステージに上がると、「オーライ! ロックンロール!」と叫んでライブがスタートした。ザ・クロマニヨンズのライブではいつもの光景ではあるものの、ライブを観る度に初めて観たような興奮があるから不思議に思う。バンドの背後には「HEY! WONDER」のバックドロップがデカデカと掲げられ、ステージにはメンバーに向かってモニタースピーカーが一列に並んでいる。1人1人に音を返しているというよりも、バンドが放つ音の塊をそのまま返しているようだ。ニューアルバムからの曲が次々に披露され、2ビートで突き進む「あいのロックンロール」では、〈あい あい あい あい〉と歌うヒロトに合わせて合唱するオーディエンス。ヒロトは両手を掲げてその愛を受け止めている。
甲本ヒロト(Photo by 柴田恵理)
ザ・クロマニヨンズ節全開の「ゆでたまご」に合わせて「Oi!Oi!」と場内から声が飛ぶ。可愛らしいタイトルと裏腹な鋼のような強烈なビートで、ステージに卵があったら間違いなく殻が割れているだろう。バンドが一丸となってドライブする「ハイウェイ61」では、セカンドラインのリズムが導入されたパートが盛り上がりどころ。”ハイ・ホー・レッツゴー!”的なノリが楽しい王道パンクチューン「大山椒魚」「よつであみ」等、痛快な歌と演奏を繰り出していく4人。途中、ギュウギュウのフロアからいったん出て後ろに回るお客さんの姿を見ると、「また戻って来いよ~」と声を掛けつつ、「どこで見ても最後まで楽しめるようにロックンロールはできています。最後まで楽しんでくれよ!」と呼び掛ける心優しきロックンローラー・ヒロト。
真島昌利(Photo by 柴田恵理)
〈どうか ミラーボール 恋の魔法をかけて〉と歌う「恋のOKサイン」に合わせて、フロアの上でミラーボールが回る。ドゥーワップ風の旋律が新鮮だ。真島のメロウなギターソロにも酔わされた。「雷雨決行」のイントロでは、桐田が立ち上がりツイスト風に踊って小林も呼応する。疾走する演奏とこみ上げるメロディで盛り上がり、真島のギターソロの間、ヒロトは両手を丸めてフロアを眺めるポーズ。ステージ上も最高に楽しそうだ。
桐田勝治(Photo by 柴田恵理)
桐田がマレットを使ったイントロから加速して、ひたすら〈くだらねえ〉と歌う「くだらねえ」、キャッチーでコーラスワークも印象的な「メロディー」と、ニューアルバムの曲を畳みかける。小林のベースラインがうねる中で繰り返すタイトルがクセになる「SEX AND VIOLENCE」は赤と緑の照明が交互にステージを照らして興奮を煽る。
小林勝(Photo by 柴田恵理)
時折、アルバム以外の曲が歌われる構成もスリリングだ。ヒロトが「「生きる」いくぜー!」と叫ぶと、ステージ前にドッと押し寄せる人々でフロアはさらにごったがえして、腕を突き上げるのも大変そう。真島がグレッチのフルアコに持ち替えて、軽快なカントリー調の「不器用」へ。〈いいことが きっとある〉と繰り返すフレーズが心に沁みて、これまでにない軽いタッチの演奏も際立って聴こえた。カントリーが世界的な音楽トレンドになっているが、カントリーのみならず様々なジャンルを飲み込んでいるのがロックンロールだ。
「紙飛行機」「ナンバーワン野郎!」「ギリギリガガンガン」といった定番曲との対比が面白かったアルバム収録曲が、「男の愛は火薬だぜ ~『東京火薬野郎』主題歌~」。ミラーボールが回る演出もあり、昭和歌謡曲を思わせる旋律、泣きのギターをスナックで聴いているような気分で味わえた。『HEY! WONDER』から全曲とシングル「あいのロックンロール」のカップリングでアルバム未収録の「SEX AND DRUGS AND ROCK'N'ROLL」と、これまでの曲も織り交ぜながら進んだ約1時間半に渡る熱狂ライブ。Tシャツを脱ぎ上半身裸で飛び跳ねながら歌ったヒロトが「楽しかった! またやろう! ロックンロール!」と叫んで、4人はステージを後にした。ツアーは6月15日(土)の北海道 名寄市民文化センター EN-RAYホールまで続いて行く。
<ライブ情報>
全国ツアー「ザ・クロマニヨンズ ツアー HEY! WONDER 2024」
3月7日(木)山口県 周南RISING HALL
3月9日(土)福岡県 DRUM LOGOS
3月10日(日)福岡県 DRUM LOGOS
3月12日(火)広島県 広島LIVE VANQUISH
3月16日(土)千葉県 柏PALOOZA
3月20日(水・祝)長野県 長野CLUB JUNK BOX
3月21日(木)長野県 長野CLUB JUNK BOX
3月25日(月)神奈川県 CLUB CITTA'
3月27日(水)山梨県 甲府CONVICTION
3月30日(土)岩手県 盛岡CLUB CHANGE WAVE
3月31日(日)青森県 青森Quarter
4月6日(土)北海道 PENNY LANE 24
4月7日(日)北海道 PENNY LANE 24
4月10日(水)静岡県 Live House浜松 窓枠
4月13日(土)茨城県 大昭ホール龍ケ崎(龍ケ崎市文化会館)
4月14日(日)栃木県 栃木県教育会館
4月20日(土)神奈川県 伊勢原市民文化会館 大
4月21日(日)千葉県 市川市文化会館
4月26日(金)大阪府 フェスティバルホール
4月28日(日)愛媛県 しこちゅ~ホール(四国中央市市民文化ホール)
4月29日(月・祝)岡山県 岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場
5月3日(金・祝)埼玉県 和光市民文化センター(サンアゼリア) 大ホール
5月5日(日・祝)静岡県 静岡市民文化会館 中ホール
5月11日(土)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
5月12日(日)福井県 敦賀市民文化センター
5月18日(土)新潟県 新潟市民芸術文化会館・劇場
5月25日(土)京都府 京都KBSホール
5月26日(日)和歌山県 和歌山城ホール
6月1日(土)熊本県 玉名市民会館
6月2日(日)大分県 日田市民文化会館 パトリア日田 大ホール
6月4日(火)東京都 TOKYO DOME CITY HALL
6月8日(土)宮城県 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
6月9日(日)福島県 けんしん郡山文化センター(郡山市民文化センター) 中ホール
6月15日(土)北海道 名寄市民文化センター EN-RAYホール
ザ・クロマニヨンズ オフィシャルサイト http://www.cro-magnons.net