グローバル人材の転職支援を行う外資系企業ロバート・ウォルターズ・ジャパンは、ブランドコンセプトを刷新。記者会見の場で、新コンセプト概要や近年の人材動向について発表した。
バイリンガル人材以外も幅広くサポート
世界30ケ所以上でオフィスを構え、日本では2000年より事業を展開する同社、日本オフィスはグループの中核を担っている。
新ブランドコンセプトでは、正社員、非正規雇用、キャリア・マネジメント、エグゼクティブサーチといった一般的な人材紹介の枠を超えて、タレント・ソリューション&アドバイザリーカンパニーとして、すべての企業とすべての求職者の架け橋となる企業へと生まれ変わるとする。
北東アジアCEOジェレミー・サンプソン氏は、今後の日本の長期的な成長や世界的な成長性を考えると、人材不足こそが日本の抱える最も深刻な問題の1つだとし、個人がキャリアアップを描いてく中で人と人とが手を取ってパートナーシップを築いていくことが重要だと考えていると話す。
参入当初の印象からバイリンガル採用に特化したイメージを持たれているが、実際のところは登録ユーザーの英語力は三者三葉。
今後の市場において、英語力がますます重要になっていくことは否めないが、個々の持つスキルや経験、マインドセットなどがプロフェッショナルとしての差別化要因となり、必ずしも英語力だけが重要視されるものではない。
引き続きバイリンガル採用も行っていきつつ、幅広い人材のキャリアアップの手伝いをしていくそうだ。
シニアや外国籍の雇用が増加傾向
近年の人材動向の分析については、同社マネージング・ディレクター東京のラチャナ・ラトラ氏が解説した。
企業としては、従業員の定着率について8割近くが懸念事項であると回答しているが、従業員側は8割以上が2年以内の転職を検討しており、企業と人材とで認識に大きなギャップがあるという。
また、人材の定着率向上のために企業が取り組む分野として、従業員側は8割近くがワークライフバランスに取り組んでほしいと考えているが、企業としては3割ほどしか改善に前向きではなかった。
このような企業と人材のギャップを埋めていくことが、人材の定着につながっていくのではないかと指摘する。
また、今後の人材不足に対処していくには、多様な人材を労働力として考えていくことが重要だとした。
ここ数年で、50代の正規雇用およぶ60代の非正規雇用における転職実績の割合は増加傾向となっており、シニア世代も重要な労働力として求められていることがうかがえる。
女性の雇用については、女性のSTEM人材(科学、技術、工学、数学といった理系人材)が不足しており、2023年は男性の採用が増加。そして、正規雇用よりも非正規雇用を希望する女性が多い傾向にあるという。
そして、外国籍候補者の採用も増加傾向にあり、近年では中国の人材候補者がトップとなっている。次いでインド、韓国、アメリカと続いているという。
外国籍候補者を採用する業界・職種は、正規雇用、非正規雇用ともにその多くをITが占めており、エンジニアリングやデジタル・Eコマースなども比較的多い業界となっている。
このような傾向を踏まえ、人材の多様性を認識し、幅広い人材にとって魅力的な企業になることが世界に対しての競争力においていい位置につくことができるとし、女性リーダーの採用など、ダイバーシティの向上や人材に対するトレンドの最新情報を得ていくことが大切だと話す。
そして人材が不足している日本だからこそ、採用する企業が人材の適応性、適応力を見て、採用のアプローチを柔軟に変化させていかなければならず、採用戦略を柔軟化させておくことが企業にとっての成功につながり、結果として多様なニーズを満たすことができるとした。
今後も企業と人材のストーリーを大切にし、公平性やダイバーシティ、インクルージョンといった価値に信念をもって、日本の将来のビジネス発展に寄与していくという。