Micronの消費者向け向けブランド「Crucial」から、新たなGen 5対応SSD「Crucial T705」が登場した。Phisonの最新コントローラとMicron製の232層3D TLC NANDを組み合わせ、シーケンシャルリードは14,000MB/秒オーバーを実現。同社のGen 5、Gen 4 SSDとの性能比較も含めてさっそく実力をチェックしていく。
Crucial現行SSDのラインナップ・外観を整理
Crucial T705は、MicronのGen 5対応NVMe SSDの最新モデル。Micron製の232層3D TLC NANDフラッシュメモリに、CES 2024で発表されたばかりのPhison最新コントローラ「PS5026-E26」を組み合わせることで、シーケンシャルリードで最大14,500MB/秒、シーケンシャルライトで最大12,700MB/秒を実現したモデルだ。
シーケンシャルリード最大12,400MB/秒、シーケンシャルライト最大11,800MB/秒だった前モデルのCrucial T700から大きく性能を伸ばしている点がポイント。ランダム読み込みで4%、ランダム書き込みで20%高速化しているという。まさに、現役最速クラスのSSDと言ってよいだろう。
容量は1TB / 2TB / 4TBの3種類で、それぞれヒートシンク装着済みモデルとヒートシンクの無いモデルがラインナップされている。また、2TBモデルに関してはヒートシンクがホワイトの「Limited Edition」が数量限定で発売。ホワイトカラーにこだわって自作PCを組みたい人には有力な製品になるだろう。
このほか、ハイエンド向けということもあり、キャッシュ用のDRAMも搭載(1TBごとに1GB)。DRAMを搭載していると、空き容量が少なくなってもランダムアクセス性能が落ちにくいのが大きな強みだ。そのほかスペックは下記の表にまとめた。
容量 | 1TB | 2TB | 4TB |
---|---|---|---|
フォームファクタ | M.2 2280 | ||
インターフェース | PCI Express 5.0 x4 | ||
プロトコル | NVMe 2.0 | ||
NANDフラッシュメモリ | Micron製232層3D TLC NAND | ||
コントローラ | Phison PS5026-E26 | ||
シーケンシャルリード | 13,600MB/秒 | 14,500MB/秒 | 14,200MB/秒 |
シーケンシャルライト | 10,200MB/秒 | 12,700MB/秒 | 12,600MB/秒 |
総書き込み容量(TBW) | 600TB | 1,200TB | 2,400TB |
保証期間 | 5年(限定保証) |
国内の価格は原稿執筆時点では不明だが、米国での希望小売価格は1TB / 2TB / 4TBのそれぞれが、ヒートシンクなし239.99ドル / 399.99ドル / 689.99ドル、ヒートシンク付き259.99ドル / 439.99ドル / 729.99ドルとなっている。ホワイトモデルのLimited Editionは483.99ドルだ。
性能チェック。Micron最新232層NAND・Phison最新コントローラーの実力は
ここからは性能テストに移ろう。まずは、データ転送速度を測る定番ベンチマークの「CrystalDiskMark 8.0.5」から実行する。比較対象として用意したのは、同じGen 5のCrucial T700(2TB)とGen 4のCrucial T500(2TB)。テスト環境は以下の通りだ。
- CPU:AMD Ryzen 9 7900X(12コア24スレッド)
- マザーボード:ASUSTeK ROG CROSSHAIR X670E HERO(AMD X670E)
- メモリ:Micron Crucial DDR5 Pro CP2K16G56C46U5(PC5-44800 DDR5 SDRAM 16GB×2)
- ビデオカード:MSI GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC(NVIDIA GeForce RTX 4060)
- システムSSD:Micron T700 CT2000T700SSD3JP(PCI Express 5.0 x4、2TB)
- CPUクーラー:Corsair iCUE H150i RGB PRO XT(簡易水冷、36cmクラス)
- 電源:Super Flower LEADEX V G130X 1000W(1,000W、80PLUS Gold)
- OS:Windows 11 Pro(23H2)
Crucial T705は、シーケンシャルリードが14,413.09MB/秒、シーケンシャルライトが12,698.37MB/秒とほぼ公称通りの性能を発揮した。現役最速と言ってよいだろう。
次は、Office系、クリエイティブ系、ゲーム系などさまざまなアプリの動作をシミュレートするPCMark 10のFull System Drive Benchmarkを実行しよう。アプリに対するレスポンスのよさを見ることができるテストだ。
4,308という強烈に高いスコアを記録した。同じGen 5のCrucial T700に対して約9%、Gen 4で最速クラスの性能を持つCrucial T700より約22%も上回った。アプリのレンスポンス性能も非常に優秀と言ってよいだろう。
2,500以上のスコアでゲーム向けのSSDとして高速という目安となるが、それを1,000以上も上回る3.603を記録した。ゲーム用途でも優れた性能を発揮できている。
続いて、連続書き込み時の速度と温度の推移をチェックしたい。「TxBENCH」を使って5分間連続でシーケンシャルライトを行ったときの速度と温度をモニタリングアプリの「HWiNFO Pro」で追ったときの値だ。バラック状態でテストしているが、ケース内のエアフローを想定してSSDの上部に12cm角の冷却ファンを設置している。
速度推移は、Crucial T705の2TBは約209GBでSLCキャッシュが切れたようで、その後は約4,000MB/秒で推移した。キャッシュ切れ後でも高速な書き込みが維持できており、大容量のファイルを扱っても不満を感じることはないだろう。Crucial T700の2TBは約197GB、Crucial T500の2TBは約702GBまで書き込んだ時点で速度低下が発生している。
温度推移を見ると、さすがに高速なCrucial T705が一番高い。それでも最大65度であり、高温になると強制的に速度を下げてSSDを保護するサーマルスロットリングは起きなかった。付属ヒートシンクと適当なエアフローがあれば問題なく運用できるだろう。ちなみに、Crucial T705は81度でサーマルスロットリングが起きる設定になっている。Crucial T700は最大52度、Crucial T500は最大39度だった。
Micronの最新232層NANDとPhisonの最新コントローラによって、14,000MB/秒を超える超高速SSDの最新モデルが誕生した。動画編集など大容量のファイルを扱う人にとっては魅力的な製品となるハズだ。アプリのレスポンスも優秀で、とにかく最速のSSDが欲しいというコダワリ派にもオススメできる完成度。SSDはまだまだ進化できることを証明した製品だ。