英国生まれのコンパクトカー「ミニ」(MINI)の3ドアモデルが10年ぶりのフルモデルチェンジで新型になった。日本での発売は2024年3月1日。納車開始は2024年第2四半期を予定している。新たに追加となったミニ初の電気自動車(EV)モデルにミニらしさはある? 値段は? 新車の発表会を見に行ってきた。
EVがエンジン車よりも安く買える?
英国を象徴する小型車のミニは、2002年からBMWグループが開発、生産、販売を行っている。今回は、従来「3ドア」と呼ばれていたクルマのフルモデルチェンジだ。これを機にBMWでは、3ドアの呼び方を「ミニクーパー3ドア」に改めた格好となる。
新型ミニクーパー3ドアには「C」「S」「E」「SE」の4タイプがある。EとSEはミニ初のEVだ。違いは以下の通り。性能に関する数値データは全て欧州仕様車のものとなる。
C:1.5L直列3気筒ツインターボガソリンエンジンを搭載。最高出力115kW、最大トルク230Nm。価格は396万円
S:2L直列4気筒ツインターボガソリンエンジンを搭載。最高出力150kW、最大トルク300Nm。価格は465万円
E:最高出力135kW、最大トルク290Nmのモーターで前輪を駆動するEV。停止状態から100km/hへの加速に要する時間(ゼロヒャク加速)は7.3秒。バッテリー容量は40.7kWh、フル充電での航続可能距離は305km。価格は463万円
SE:最高出力160kW、最大トルク330Nmのモーターで前輪を駆動するEV。ゼロヒャク加速は6.7秒。バッテリー容量は54.2kWh、航続可能距離は402km。価格は531万円
新車のお披露目に登場したビー・エム・ダブリュー MINI 営業部長の山口智之さんによると、これらのEVは外部給電の機能を備えているため、国や自治体からの補助金がフルで受け取れるとのこと。2024年度の補助金がいくらになるかはまだ未定だが、2023年度の基準に当てはめると、東京都江東区で購入した場合、国から85万円、東京都から45万円、江東区から10万円の計140万円が受け取れる。これならEはCより安く買えるということになる。
ミニらしさは残ったのか
ミニといえば「ゴーカート」のような乗り味を特徴としてきたクルマだが、電動化しても思想は変えていない。ビー・エム・ダブリューでMINI 本部長を務めるピーター・メダラーさんのよれば、ミニのEVは「エレクトリファイド ゴーカート フィーリング」が味わえる仕上がりとなっているそうだ。
インパネに丸い画面が付いているのもミニの特徴。新型ミニクーパー3ドアでは丸い有機LEDタッチセンサー付きパネルが鎮座する。ドライバーの目の前にメーターパネルは付いていない。車速などはヘッドアップディスプレイ(HUD)で確認できる。
丸い画面は表示テーマが変えられる。発表会のためにBMW本社からはるばる来日したMINI デザイン部門責任者のオリバー・ハイルマーさんによると、テーマを変えれば音まで変わるそうだ。いくつかのパターンを実際に聞くことができたが、例えばテーマを「クラシック」にすると走行音はエンジン車っぽい音になるようだった。
ビー・エム・ダブリューでは2024年の年末までに、全国のミニ正規ディーラー全てに最低でも90kWの出力が出る急速充電器を整備していく方針。EV普及に向けた本気度がうかがえる取り組みだ。ミニのモデルでは最も大きい「カントリーマン」にもEVモデルが追加となっている。