大きな賭け? 異色の経歴からプロ入りを果たしたルーキー6人。ポテンシャ…

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 いよいよ球春到来を迎えたプロ野球。2023年ドラフト会議では計122人が指名され、新たにプロでの生活をスタートさせる選手が多く存在する。毎年のように予想外となるサプライズ指名が巻き起こるドラフト会議だが、中でも今季は特殊な経歴を持つルーキーの存在が目立つ。ここでは変わった経歴を持つ2023年の新人選手を紹介したい。
 

 

森田駿哉(読売ジャイアンツ)

・投打:左投左打
・身長/体重:185cm/88kg
・生年月日:1997年2月11日
・経歴:富山商 – 法政大–ホンダ鈴鹿
・ドラフト:2023年ドラフト2位
 
 読売ジャイアンツから2位指名と高い評価を受けた森田駿哉。ドラフト市場では、高齢となる26歳でのプロ入りとなった。
 
 富山商時代には3年夏に甲子園へ出場。高校日本代表に選出されるなど、世代屈指の左投手として名を上げたが、プロ志望届を提出せず法政大へ進学した。
 

 
 法政大では入学直後となる1年春のリーグ戦で開幕投手に抜擢。同春は7試合に登板し、1勝2敗、防御率3.60の活躍を見せた。
 
 しかし、その後は故障に苦しみ、2年時には左肘の手術を敢行。4年時に復帰したが、思うような投球ができず、ドラフト指名漏れを経験した。
 
 大学卒業後はホンダ鈴鹿でプレーし、入社1年目から公式戦に登板。社会人5年目を迎えた2023年にトヨタ自動車の補強選手として都市対抗に出場すると、2試合で先発マウンドに上がり、ともに6回1失点と好投を見せた。
 
 全国大会での活躍により評価を高め、ドラフト2位で巨人から指名を受け入団。2月で27歳を迎えるだけに、プロ1年目から活躍が求められている。






武田陸玖(横浜DeNAベイスターズ)

・投打:左投左打
・身長/体重:173cm/78kg
・生年月日:2005年6月6日
・経歴:山形中央高
・ドラフト:2023年ドラフト3位
 
 高校時代から投打の二刀流で活躍し、大きな注目を集めた武田陸玖。プロの世界でも二刀流に挑戦する予定だ。
 
 山形中央高では、入学直後からレギュラーに定着。早い段階から投打でチームの柱を担った武田。
 

 
 高校3年間で甲子園には出場できなかったが、一目を置かれる存在となり、U-18ワールドカップの高校日本代表に選出。
 
 同大会では打者として打率.364(11打数4安打)、3打点。投手として3試合(5回1/3)を投げて無失点に抑え、大会制覇の原動力となった。
 
 迎えたドラフト会議で、横浜DeNAベイスターズから3位指名を受けてプロ入り。投手として最速149キロを誇り、バットでは高校通算31本塁打を記録するなど、どちらの才能も捨てがたく、プロでも二刀流の継続が決まった。
 
 指名打者制のないセントラル・リーグでは、根尾昂(現:中日)、戸根千明(現:広島)が二刀流に挑戦した事例はある。成功すれば無限の可能性を秘めるだけに、今後の動向に注目が集まる。






谷口朝陽(埼玉西武ライオンズ)

・投打:右投右打
・身長/体重:185cm/85kg
・生年月日:2004年4月3日
・経歴:広陵高 – 徳島インディゴソックス
・ドラフト:2023年育成選手ドラフト2位
 
 最速153キロの本格派右腕として独立リーグでプレーしていた谷口朝陽だが、プロではアマチュア時代にほとんど実績のない内野手としてキャリアをスタートさせる。
 
 広陵高時代は3年春の公式戦にエースナンバーを背負い登板したが、同夏はベンチから外れるなど、思うような活躍ができなかった。
 

 
 高校卒業後は四国アイランドリーグPlusの徳島インディゴソックスに加入。最速153キロを計測するなど大きな成長を見せたが、高卒1年目は3試合の登板にとどまった。
 
 一方、徳島への入団当初から将来的な投打の二刀流挑戦を見据え、打撃練習や遊撃の守備練習に取り組んでいた。野手での試合出場はなかったが、身体能力の高さに目を付けた埼玉西武ライオンズが、内野手として同年の育成選手ドラフト2位で指名。
 
 抜群の身体能力に加え、現在19歳と充分な伸びしろを誇る。まずは支配下登録を目指すこととなるが、今後の成長に大きな期待がかかる。






椎葉剛(阪神タイガース)

・投打:右投右打
・身長/体重:182cm/92kg
・生年月日:2002年3月18日
・経歴:島原中央高 – ミキハウス – 徳島インディゴソックス
・ドラフト:2023年ドラフト2位
 
 又吉克樹(ソフトバンク)、大谷輝龍(ロッテ)と並び、独立出身選手ではドラフト最高順位でプロ入りした椎葉剛。この1年で急激な成長を遂げ、ドラフト上位に食い込んだ。
 
 島原中央高では、3年春まで捕手としてプレーした椎葉。高校最後の夏はエースを務めたが、長崎県大会1回戦で敗退。その後はミキハウスに進むも、3年間の在籍で公式戦への登板は1試合にとどまった。
 

 
 高卒4年目を迎えた2023年に、四国アイランドリーグPlus・徳島インディゴソックスへ加入。入団後に本格的なトレーニングに取り組むと、142キロだった直球がわずか1年で最速159キロまで成長した。
 
 同リーグでは22試合(39回)を投げて3勝1セーブ、投球イニングを大きく上回る51奪三振、防御率2.31をマーク。
 
 プロから注目を集める存在となり、同年のドラフト2位で阪神タイガースに入団。春季キャンプから一軍メンバー入りするなど、プロ1年目から即戦力として期待されている。






大谷輝龍(千葉ロッテマリーンズ)

・投打:右投右打
・身長/体重:180cm/81kg
・生年月日:2000年7月11日
・経歴:小松大谷高 – JFE東日本 – 伏木海陸運送 – 富山GRNサンダーバーズ
・ドラフト:2023年ドラフト2位
 
 独立リーグへの移籍を機に急成長を遂げた大谷輝龍。独立リーグ出身選手では史上最高順位タイとなる2位指名を受けた。
 
 小松大谷高からJFE東日本に進んだが、在籍した2年間で公式戦での登板はなし。その後は伏木海陸運送に活躍の場を移すも、制球難に苦しみ目立つような結果を残せなかった。
 

 
 それでも一念発起し、2023年に日本海リーグ・富山GRNサンダーバーズに加入。入団後に取り組んだフォーム改造が功を奏し、9月には自己最速の159キロをマーク。
 
 富山ではリリーフ起用がメインとなり、14試合(13回1/3)の登板で防御率2.70をマーク。さらに、イニング数を上回る20奪三振を記録するなど、大器の片鱗ぶりを覗かせた。
 
 迎えたドラフト会議で、千葉ロッテマリーンズから2位指名を受けプロ入り。現在23歳と大卒社会人経由で入団した選手と近い年齢になるだけに、プロ1年目から一軍のブルペン陣に割って入りたいところだ。






髙橋翔聖(東京ヤクルトスワローズ)

・投打:右投右打
・身長/体重:187cm/81kg
・生年月日:2005年12月7日
・経歴:鶯歌工商高(台湾)
・ドラフト:2023年育成選手ドラフト1位
 
 東京ヤクルトスワローズから育成選手ドラフト1位指名を受けた髙橋翔聖。台湾の高校生がNPBからドラフト指名を受けるのは、史上初の出来事となった。
 
 日本国籍の母親と台湾国籍の父親を持つ髙橋だが、幼少期には日本で暮らした経験もあり、日本語も堪能。小学校から野球を始め、高校から本格的に投手に専念。
 

 
 ドラフト会議直前には最速151キロを計測するなど、台湾の全国大会でも活躍した。直球に加えてスライダーやチェンジアップなど、多彩な変化球を操る器用さを兼ね備えている。
 
 さらに、身長187センチと恵まれた体格を持っており、視察を重ねていたヤクルトが2023年ドラフト会議で育成指名に踏み切った。
 
 台湾では高校卒業時期が6月となるため、チーム合流も6月以降となる見込み。豊かな将来性を誇るだけに、来日後のパフォーマンスに注目が集まる。



 


 

 
【了】