修正ばかりでなかなかOKをもらえない……。複数デザインを作ってくれと言われたら? 情報量が多くてうまくおさまらない! 印刷したら写真の色が沈んでしまった! 相性のいいフォントの組み合わせを教えて! 流行りのデザインのインプット方法ってどうすればいい? などなど、デザイン事務所・ingectar-eが100のお悩みに答える書籍『デザインのしごと 100の質問 プロのデザイナーに聞きたい、仕事にまつわる大切なこと』(マイナビ出版刊)が2月27日に発刊されました。

本記事では、書籍内の質問から4つのお悩みを抜粋して紹介します。

  • 『デザインのしごと 100の質問 プロのデザイナーに聞きたい、仕事にまつわる大切なこと』

『デザインのしごと 100の質問 プロのデザイナーに聞きたい、仕事にまつわる大切なこと』
ingectar-e 著
定価:2,497円(本体2,270円+税10%)
発売日:2024年2月27日 判型:A5判/フルカラー ページ数:256ページ
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Q 001.クライアント打ち合わせが怖い!

⇒事前に相手のことをできる限りインプットしておこう!

案件の出発点となる「初回打ち合わせ」。対面でもリモートでも共通して大切なことは「クライアントへの熱意」を伝え、安心と信頼を得ることです。そのためにはいかに相手のことを知っているかが特に重要です。相手の「強み」や「弱み」を知ることで、提案にもしっかりとした根拠が生まれます。

「うちのことをよく理解したうえで、より良くなる提案をしてくれている」「この人になら安心して任せられる」とスタートで思ってもらえるよう準備をしておくと、クライアントのモチベーションも上がり、打ち合わせで質の高い情報を引き出すことができ、その後の進行もスムーズになります。

良い仕事は、良い人間関係を築くことから始まります。相手をとことん知り、根拠ある提案を親身になってすることで、相手に「心強い味方」だと感じてもらうことが大事です。

Q 022.メリハリを意識するもののいまいちうまくいかない

⇒苦手な人はやりすぎくらいがちょうどいい

レイアウトでよく聞く「メリハリ」。デザインにメリハリがあると、文章の読みやすさが向上し、視線誘導がうまくはたらくことで、重要な部分が直感的に伝わり、対象をより魅力的に見せることができます。身近なもので最もメリハリが活かされているのが新聞の見出し。本文を読まなくても、ざっと見出しに目を通すだけで大体のできごとが把握できます。

メリハリをつけるのが苦手な人は、大胆な強弱をつけることに躊躇しているのではないでしょうか。「ちょっとやりすぎじゃない?」くらいでちょうどいいはず。少し時間を置いてデザインを改めて見たときに、一番最初に何が目に入ってくるか? どんな印象を受けるか? それがデザインの目的と合致しているか? など、どういう場所に掲載されるかも考慮してコントラストの度合を調整していくのがよいでしょう。

Q 067.見つけやすさと目立ちやすさって違うの?

⇒「誘目性」と「視認性」、違いをしっかり理解しよう

見つけやすさと目立ちやすさは似ているように見えて実は違います。例えば、デパートの中でふと「SALE」のポスターが目に飛び込んでくる。このように意識していない人の注目を引きつける度合いを「誘目性」と言います。一方で、トイレの場所を探しているときにトイレの案内が見つけやすい。このように意識しているときの対象の見つけやすさのことを「視認性」と言います。トイレに行くつもりはないのにやたらトイレの案内が目に飛び込んできても困りますよね。

「誘目性」を高めるためには目立つ派手な赤やオレンジ、つまり彩度と色相がポイントです。「視認性」を高めるためには、はっきりと見分けをつけることが大切なので、明度差がしっかりついていることがポイントです。このように、目的に応じた強調を心掛けるようにしましょう。

Q91.自分のデザインをうまく説明できない

⇒まずは人のデザインを言葉にする練習から!

デザイナーの中でも言語化が苦手という人はけっこう多いかもしれません。アーティストであれば感じたままのアウトプットでも問題ないですが、デザイナーはクライアントの課題解決のために仕事をしているため、デザインの根拠を言葉で説明する必要があります。

言語化のメリットは大きく2つ。1つ目は相手の承認が得やすくなること。納得できる理由があれば、クライアントもOKを出しやすくなります。2つ目は不必要な作業が減ること。無茶な要望に対しても、言語化する力があれば、要望をうまく整理して「それだったらこういうのはどうでしょう?」と逆に提案することもできます。言語化を鍛えるには日々の積み重ねが必要です。例えば街中の広告に対して「なぜこうしたんだろう?」と背景を想像することで、考えを言語化する力が身についていきますよ。

本書の構成

Chapter 1 クライアント
良い仕事は、良い人間関係から

Chapter 2 レイアウト
見栄えだけでなく、読み手に負担を与えないデザインの要の知識

Chapter 3 フォント
「文字」は情報伝達の中心的な役割

Chapter 4 配色
人の感情は「色」によって動かすこともできる!

Chapter 5 印刷
こだわり出せばきりがない、奥が深い印刷について

Chapter 6 学習&気持ち
デザイナーとして成長するための、マインド面のアドバイス

著者プロフィール

株式会社インジェクターイー/デザイン会社

ブランディング・グラフィック・Webデザイン制作の他、イラスト素材集やデザイン教本などの書籍の執筆、制作をしている。著書は50冊以上、代表作に「3色だけでセンスのいい色」(インプレス)20万部。「けっきょく、よはく。余白を活かしたデザインレイアウトの本」(ソシム)シリーズ累計50万部突破。オンラインデザインスクール「Fullme」講師&コンテンツ制作もしている。