国民全員が保有しているマイナンバー。マイナンバーカードの普及率は2回の「マイナポイント」付与の効果もあり1億人近い79.1%、さらに2021年10月から健康保険証として利用できるようになり、その登録率は7,000万人以上の73.8%と広がっている。
しかし、せっかく持っているにもかかわらず「イマイチ活用しきれていない」「そもそも何かに役立ったことがない」という方も多いのではないだろうか。デジタル庁でマイナンバーカード・マイナポータルの活用法について聞いた。
マイナンバーって安全なの?
マイナンバーは2015年10月から付番を開始した制度。日本国内のすべての人に作成・通知される12ケタの番号だ。「マイナンバー制度は行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤です」(同庁)。マイナンバーがあることで情報が連携され、住民票などの添付をせずとも税務申告や社会保障などの申請手続きができるようになる。
自分のマイナンバーが記載されたマイナンバーカードには顔写真が付いていることから、対面で使用すれば本人確認を目視で行うことができる。オンラインではICチップに格納された電子証明書で本人確認ができる。12ケタの番号はやたらと厳重に管理される印象が強いが、単純にマイナンバーを見られても個人情報が盗まれることはないそうだ。
マイナンバーカードを紛失・盗難した場合は24時間365日体制で一時利用停止が可能、さらにアプリごとに暗証番号を設定しており一定回数間違えると機能がロックされる。また、不正に情報を読みだそうとするとICチップが壊れるようになっている。また、個人情報はひとつの共有データベースで管理されているわけではなく、情報を分散して管理しており、行政職員もその人が行う手続きに必要な情報にしかアクセスできないようになっているとのことだ。
マイナポータルの活用法
マイナポータルでは以下のようなことができる。
罹災証明書の申請
災害で住居に被害を受けた場合に被害状況を証明し、支援金の給付・税・保険料などの減免と猶予など被災者向けの支援策を申請することができる。
確定申告を簡単に
マイナポータルからデータを取得し、e-Taxと紐づけることで申告書に自動入力され、自動計算、税務署への提出までが行える。書面の管理・保管が不要となり、一部自動入力される箇所がある。また税務署に持参したり郵送したりする必要もなく24時間利用することができるため、大幅に確定申告の手間が軽減される。
特に医療費控除の入力では1年分の領収書を手打ちで入力しなくても自動的に連携されるため、領収書を保管する必要もなく、また入力間違いもない。2024年の1月からは給与の源泉徴収票についても自動連携できるようになった(勤務先の会社が税務署にオンラインで源泉徴収票を提出している場合)。
引越しの手続き
引越し時に面倒な転出届は2023年からマイナポータル上でオンラインで提出が可能となった。引越し前に市区町村の窓口に出向く必要はなく、夜間・休日問わずいつでも手続きが可能となる。転入届は窓口に出向く必要があるが、マイナポータルから事前に来庁の予約ができる。何かと慌ただしい引越しのタイミングで役所に行くのが1回で済むのは便利。
おくすり手帳に
保険証と連携しているため、病院で処方された薬の情報もマイナポータルから確認することができる。予防接種や特定検診などの記録の確認も可能だ。
子育て関連の手続き
妊娠の届け出、児童手当などの手続き、保育所の入所申請などもマイナポータル上から行うことができる。
住民票の発行
マイナンバーカードがあればコンビニエンスストアのコピー機で住民票の印刷が可能であることは近年かなり周知されてきたが、2024年1月22日からはファミリーマート・ローソンではマイナンバーカード機能を搭載したスマートフォンでも住民票の印刷ができるようになった。
その他にも図書館カード、国民年金の免除・納付猶予・学生給付特例の申請、健康保険証としての使用、過去の病歴や薬歴の確認、銀行口座の開設・住宅ローンの契約など、様々な場面でマイナンバーを活用し、オンラインでの本人確認に利用が拡大している。エンターテイメント分野でも「東京ガールズコレクション」では不正転売防止に向け実証実験を行うなど、エンタメ分野での活用も広がっているという。