第72期王座戦(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)は予選が進行中。2月27日(火)には一次予選の計2局が関西将棋会館で行われました。このうち、古森悠太五段―井田明宏四段の一戦は150手で井田四段が勝利。独自の角交換振り飛車破りで二次予選進出を決めました。
最終切符は2枚
本一次予選は20人前後からなるトーナメントを勝ち抜いた計6名が二次予選に進むもの。この日に指された2局の勝者が最後の進出枠を手にします。振り駒が行われた本局は古森五段が得意の角交換振り飛車を採用、向かい飛車に振り直して戦いの時を待ちました。
対する井田四段が披露したのは独特な振り飛車対策でした。飛車を自陣一段目に引いてから金銀の形を整えたのがそれで、放っておけば自然に地下鉄飛車の要領での玉頭逆襲が見えてきます。実戦はこれを不満と見た古森五段が仕掛けて左辺から戦いが始まりました。
井田四段の構想実る
7筋周辺で駒交換が行われてようやく局面は一段落。手番を得た古森五段は豊富な持ち駒を生かして敵陣攻略を試みますが、ここからの井田四段の対応が秀逸でした。桂と歩による先手の攻めに見切りをつけて飛車を右辺に大転換したのが序盤の構想を実現した一手です。
古森五段も負けじと竜を作って食い下がりますが流れに乗った井田四段の攻めは止まりません。先手の玉頭に迫る歩頭桂が厳しい手筋。その後も難しいところはありつつも先に敵玉に迫った利は大きく、井田四段はここから好調な端攻めで優勢拡大に成功しました。
終局時刻は20時50分、自玉の詰みを認めた古森五段が投了。最後は盤面全体を使った寄せを披露した井田四段が2年連続となる二次予選進出を決めました。なおこの日行われた別対局の結果、西田拓也五段も二次予選進出を決めています。
水留啓(将棋情報局)
※2024年02月28日午後3時30分、記事初出時、記事内容に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。