三菱自動車が2024年2月15日に発売した新型トライトン。タイで生産され、日本に輸入される1ナンバー登録のピックアップトラックである。2.4L直4ディーゼルターボエンジンを搭載する4WDモデルで、価格は498万800〜540万1000円。
国内でにわかに広がるピックアップモデルの人気を踏まえて12年ぶりの登場となるトライトン。SUV並みの快適性とピックアップトラックに求められる堅牢性、実用性を兼ね備え、現代的に進化したデザインも見せ場となっているが、じつはデザインの細部へのこだわりも強く、なにやら秘密も隠されているという。デザイン本部プログラムデザインダイレクターの吉峰典彦氏に話を聞いた。
「サイドステップのでこぼこのパターンは、じつは生産終了したパジェロの最終モデルと考え方が一緒なんです。長年培ってきた意匠で、サイド部分まで溝をつなげているため、水はけがよくてしかも凍らないという最適なパターンなのです。そういったパジェロの資産をうまく使っています。当初、デザイナーは幾何学模様とか、しゃれたデザインなど、いろいろなパターンを描いて検討したのですが、凍ったり水がたまったりするなど、条件がなかなか合わなかったのです。
そして、デザイナーが設計者と打ち合わせをしていくうちに、じつはパジェロが採用する碁盤の目のようなパターンが寒冷地では最適なパターンで、これが一番いいんですよね。それなのに他社さんではやっていないんですよ、と提案されたんです。それはいいねということで決まりました。このパターンはサイドステップだけではなく、リヤバンパーにも採用しています。まさに“パジェロネス”を入れているのです」
生産終了となったパジェロのスピリットは、アレンジされつつもトライトンにも受け継がれているのである。
〈文=ドライバーWeb編集部〉