伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は挑戦者決定リーグが進行中。2月26日(月)には白組の2局が行われました。このうち、東京・将棋会館で行われた羽生善治九段―森内俊之九段戦は104手で森内九段が勝利。急転直下の終盤戦を制して今期初勝利を挙げました。

ファン垂涎の好カード

羽生九段1勝、森内九段1敗で迎えた2局目にして黄金カードが実現。かつて名人戦で名勝負を繰り広げた両雄の対決にSNS上は「羽生森内は春の季語」「羽生森内というだけで気分上がる」と盛り上がりを見せます。盤上は羽生九段の誘導で角換わり腰掛け銀に進みました。

後手の森内九段が6筋に位を取ったところで先手の羽生九段は早速これに反発。守りの左銀を繰り出したのは意表の積極策ですが実戦例があり、双方しばらくハイペースで指し手を進めます。手番を得た森内九段は同筋に回った飛車を主軸に反撃を目指しました。

勝敗分けた合駒問題

先んじて王手をかけることに成功した森内九段は自陣への攻めを手抜いて攻め合いに専念。やがて羽生玉は土俵際に立たされますが、その後攻めあぐねがあり形勢の針は徐々に羽生九段に傾きます。開き直った森内九段が連続王手に踏み切った局面が本局の分岐点でした。

一間竜での王手に対して銀を合駒した羽生九段ですが局後これを後悔することに。感想戦では代えて桂を打つのが正しく、それならのちに後手に渡す駒が安く済むため問題なかったと結論付けられました。実戦の銀合いに対しては即詰みが生じています。

終局時刻は19時7分、自玉の詰みを認めた羽生九段の投了で森内九段の勝ちが決まりました。これで勝った森内九段、敗れた羽生九段ともに1勝1敗となっています。

水留啓(将棋情報局)

  • 両者の対戦成績はこれで森内九段の61勝80敗となった

    両者の対戦成績はこれで森内九段の61勝80敗となった