ジオテクノロジーズは2月20日、「よく歩く都市ランキング」を発表した。ランキングは、全国400万人の歩数データから、1人当たりの平均歩行距離を政令指定都市ごとに集計し、作成された。
同社ではユーザーの健康促進を促すため、自社アプリ「トリマ」を利用して歩数データの収集を行っている。現在トリマでは、月間約400万人のアクティブユーザーを保有しており、これらユーザーの歩数データを日々収集している。今回、東京大学の樋野公宏准教授と鎌田真光講師との共同研究第2弾として、全国の政令指定都市における歩数を分析した。対象日は沖縄県を除き、全国的に晴れの日だった2022年11月9日と2023年5月16日を対象としている。
分析の結果、首都圏や近畿圏など三大都市圏に含まれる政令指定都市がより歩いているという結果に。トップ3位は、1位神奈川県川崎市(7561歩)、2位神奈川県横浜市(7538歩)、3位大阪府大阪市(7244歩)だった。特に神奈川県の横浜市と川崎市では平均歩数の差は30歩以内と熾烈なトップ争いを繰り広げている。さらに横浜市では8000歩以上の割合が両日とも1位となっており、多くの市民が日常的に多く歩くことが伺える。
一方、最も平均歩数が低かった新潟市では、川崎市よりも平均で約2,000歩低く、比較的人口規模の大きい政令指定都市に限定しても、地域間格差が大きいことが示された。
自動車移動への依存度が高い地域ほど歩数が低いことはこれまでにも知られており、今後、対象地域を広げて人口規模のより小さな自治体も含めることで、より大きな歩数の格差が見られることも推測される。
共同で分析を行った樋野公宏氏は、「一般に人口密度の高い大都市ほど歩数が多いことが知られていますが、政令指定都市の間でも約2000歩の差があったことに驚きました。こうした差が生じる要因のひとつに都市の物的環境があります。行きたくなるお店や公共施設が多い、鉄道やバスなどの公共交通が充実している―そんな都市では住民の外出率が高く、歩数も多くなる傾向にあります。お住まいの地域のまちづくりはどうでしょうか。また、歩数を増やすためには、自動車に依存したライフスタイルを見直すことも重要です。いつも自動車で行く場所の中でどこなら、どういう場面なら歩いて行けそうでしょうか。このランキングが、まちづくりやライフスタイルを考えるきっかけになると良いと思います」とコメント。
鎌田真光氏は「歩数は健康上の重要な指標ですが、大規模かつ毎日継続的に測定する調査はなく、各地域の実態は詳しく分からないという課題がありました。トリマ利用者の大規模なデータは、各自治体が実施する政策を評価したり、自然災害などの様々な事象が人々の生活と行動に与える影響を迅速に把握したりする上で大変価値のあるものになります。こうしたデータも活用しながら、国や自治体で実効性のある健康・スポーツ政策の推進と検証が進み、全ての人々がアクティブに過ごせる社会の実現へとつながることを期待しています」とコメントを寄せている。