KDDI、KDDI総合研究所、国立極地研究所は2月26日、衛星ブロードバンド「Starlink」を用いた南極からの8K映像リアルタイム伝送の実証実験に成功したと発表した。

  • 昭和基地周辺から8K映像を伝送する観測隊員

    昭和基地周辺から8K映像を伝送する観測隊員

  • Starlinkアンテナ設置の様子

    Starlinkアンテナ設置の様子

実験は2月13日に行われ、8K動画の撮影に対応したスマートフォンとKDDI総合研究所が開発した遠隔作業支援アプリ「VistaFinder Mx」を用いて、南極昭和基地で撮影した映像をStarlink回線経由で日本のKDDI総合研究所本社まで伝送した。

今回の実験における主な検証内容は、昭和基地における映像伝送機器利用のための検証、受信映像品質の検証、高精細映像をStarlink衛星通信回線で効率よく伝送するための送信帯域制御技術・パケットロス補正技術の検証。

  • 8K映像伝送システムの構成概念図

    8K映像伝送システムの構成概念図

昭和基地には2004年からインテルサット衛星通信設備が設置されており、2022年11月時点で最大7Mbpsまで高速化されているが、この回線での映像伝送はHDTVが上限であった。昭和基地と国内の病院を衛星回線でつないで行う遠隔医療支援、離れて暮らす家族との顔が見えるコミュニケーション、教育目的の情報発信など、さまざまなニーズから映像品質を向上できるより高速な通信が求められていた。

Starlinkであれば南極でも高速かつ低遅延なネットワークを利用できることに加え、ユーザーターミナル(アンテナ)の可搬性を生かして基地周辺に限らない広範囲の作業での活用が期待できる。