帝国データバンクは2月21日、「2024年度の賃金動向に関する企業の意識」に関する調査結果を発表した。同調査は、1月18日~31日、1万1,431社を対象に実施した。
2024年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は59.7%と3年連続で増加し、2006年の調査開始以降で最高を更新した。「ない」企業は13.9%と前回調査(17.3%)から3.4ポイント低下。企業規模別にみると、「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてで、2023年度見込みから賃金改善見込みの割合が上昇した。
賃上げを見込む企業を従業員数別で見ると、「6~20人」「21~50人」「51~100人」「101~300人」で6割を超えている。一方、賃金改善を実施しない割合は「5人以下」(31.6%)が突出して高い。賃上げ改善を行う企業を業界別で見ると、「製造」(64.7%)が最も高く、「運輸・倉庫」(63.7%)や「建設」(62.5%)が続いた。
賃金改善の具体的な内容は、「ベースアップ」が53.6%(前年比4.5ポイント増)、「賞与(一時金)」が27.7%(同0.6ポイント増)だった。
賃金改善が「ある」企業に、その理由を尋ねたところ、人手不足などによる「労働力の定着・確保」(75.3%)が最も高く、「従業員の生活を支えるため」(63.7%)が続く。賃金を改善しない理由は、「自社の業績低迷」(56.3%)が最多回答だった。
2024年度の自社の総人件費が2023年度と比較してどの程度変動すると見込むかを聞くと、「増加」を見込んでいる企業は、72.1%と前年比で2.5ポイント増加した。「減少」すると見込む企業は5.3%(前年比0.5ポイント減)。従業員の給与は平均4.16%、賞与は平均4.04%それぞれ増加し、さらに各種手当などを含む福利厚生費も平均4.06%増加すると試算している。