日本マリン事業協会は、今年3月に開催予定の日本最大級のマリンイベント「ジャパンインターナショナルボートショー2024」の概要を発表した。パシフィコ横浜においては4ホール全館を使用するなど、前年より規模を拡大して行われる今年のボートショー。その見どころについて関係者が説明した。

  • 都内では2月21日、「ジャパンインターナショナルボートショー2024」の概要が発表された

マリン市場の再活況を目指す

「ジャパンインターナショナルボートショー2024」は、今年で63回目を迎える。3月21日~24日にパシフィコ横浜と横浜ベイサイドマリーナで行われるリアルの3会場には215社(前年194社)が、3月1日~31日の期間中開催されるオンライン会場には221社(前年は213社)がブースを出展予定で、展示マリン製品は165隻台(前年157隻台)にのぼる。掲げるテーマは「あふれる笑顔、この海でずっと…」。

  • 開催概要。リアル会場では3月21日から24日まで、オンライン会場では3月1日から5月31日まで開催

  • 開催規模。いずれも前年より規模を拡大している

パシフィコ横浜の展示ホールでは、最新のボート、水上オートバイ、航海計器、マリン関連用品のほか、高級輸入車やリゾートなどの展示を行う。また横浜ベイサイドマリーナでは、約15億円の高級クルーザーを筆頭に、大型ボート42隻、ヨット16隻を海上展示するほか、東京湾公開講座や体験セーリングなども実施。そして八景島マリーナでは、セーリングカッター体験、マリンクラフト教室などの体験プログラムを用意する。

  • 会場のイメージ

  • 家族で体験できるコンテンツも充実させるという

日本マリン事業協会 会長の渡部克明氏は、ここ数年のマリン市場の状況について振り返る。それによれば、新型コロナウイルスの流行によりソーシャルディスタンスを保つことが求められた2020年から数年はボートで余暇を楽しむ人が増加。かねてからのアウトドアブームも追い風に働いていた。しかし昨年には、その勢いも止まる。「ボートや水上オートバイの新規登録者 / 免許取得者の数ですが、2023年はコロナ前の水準よりも下回りました。世の中のボートへの関心が高まったのに、それを維持できなかったことは、私たちの力不足と考えております」(渡部氏)。

  • ヤマハ発動機 代表取締役会長で日本マリン事業協会 会長の渡部克明氏

そこで「初心に戻って、新しいお客様に興味を持ってもらえるような認知活動をしていく」「体験機会の提供と正確な情報発信を愚直にやり直していく」と話し、「ジャパンインターナショナルボートショー2024」は見て・触れて・乗って・海を体験できる4日間にしていきたい、と強調する。

日本マリン事業協会 専務理事の佐伯誠治氏は、アフターコロナの市場動向に目を向ける。たとえば、少しずつではあるが40代以上の女性のボート免許取得者が増え続けている。また世代を問わず、フィッシングの利用比率が伸びてきた。グローバルな視点では、ボートを購入できない層がレンタルやシェアリングを利用して海で遊ぶ傾向が見てとれる。しかし国内では、若年層の免許取得者などにレンタル情報が周知できていない可能性を指摘。こうした分析データを活用して、コロナ後のマリンレジャー需要の活性化に取り組んでいくとする。

  • 日本マリン事業協会 専務理事の佐伯誠治氏

  • フィッシング利用者の増加にあわせ、パシフィコ横浜の展示ホールではFishing Villageブースを充実させる

ジャパンインターナショナルボートショー委員会 委員長の竹長潤氏は、来場者数の目標について「コロナ前の水準である5万人レベルまで、なんとか戻したい」と話す。

  • ジャパンインターナショナルボートショー委員会 委員長の竹長潤氏

  • 来場者目標

竹長氏によれば、ピーク時に44万台あった国内のボート保有隻数は今や21万台ほど。そしてボートを保有している人の年齢構成比で最も多いのは72~74歳となっている。こうした現状を踏まえて「ボートを楽しむ人の高齢化がどんどん加速しています。ジャパンインターナショナルボートショーでこうした課題をすべて解決できるわけではありませんが、これから入ってくる新しいファンを増やす展示を行っていきたい」と力を込める。

  • KIDSコンテンツにて子どもの関心を高める。白石康次郎さん、パンツェッタ・ジローラモさん、杉浦太陽さん、辛坊治郎さんを招いたトークイベントも予定されている

  • 豊かなライフスタイルの提案も行っていく

  • 横浜ベイサイドマリーナには、ここでしか見られない大型艇が国内外から集結する

また同発表会では、2024ミス日本「海の日」(2024マリンアンバサダー)に選出された有馬佳奈さんも挨拶した。

鹿児島県鹿児島市生まれの22歳で、現在は東京大学にて航空宇宙工学を学んでいるという有馬さんだが「実は明後日、クルマの免許よりも先に小型船舶免許を取得予定です」と明かす。「わたしの亡き祖父は海が大好きで、やはり小型船舶免許を持っており、海洋冒険家の今給黎教子(いまきいれ きょうこ)さんとも親交があったそうです。ボートやヨットのレースにも出場していたと聞いています。わたしも祖父の分まで海を愛し、マリンレジャーの楽しさ、魅力の情報発信に努めてまいりたいと思います」と笑顔になった。

  • マリン業界の広報大使として活躍が期待される、2024ミス日本「海の日」(2024マリンアンバサダー)の有馬佳奈さん