俳優・真田広之にとって、ハリウッド初主演にして初プロデュース作品となる連続ドラマ『SHOGUN 将軍』が、ディズニープラスの「スター」で2月27日より独占配信される。壮大なスケールで日本の歴史や魂を描いた本作で、キャスティングから編集まで関わった真田にインタビュー。本作に込めた思いやプロデューサーのやりがい、自身が感じている使命など熱く語ってくれた。

  • 真田広之

    真田広之 撮影:蔦野裕

ジェームズ・クラベルの小説『SHOGUN』を原作とする本作は、徳川家康にインスパイアされた戦国一の武将・虎永を主人公に、将軍の座をかけた陰謀と策略渦巻く戦国時代を描いたドラマ。ハリウッドと日本のスタッフ・キャストがタッグを組み、壮大なセットや撮影機材、衣装や小道具、さらにCG技術まで徹底的にこだわり、“本物の日本”を映し出した。

真田は「東西のキャスト・クルーが一丸となって、素晴らしいチームワークでこの物語を作り上げ、それをいい形で世界に同時配信できるというのは本当に喜びで、感無量です」と感慨深げに語る。

当初は、俳優として主人公・虎永役のオファーを受けた真田。その後、『トップガン マーヴェリック』の原案を手掛け、本作ではエグゼクティブ・プロデューサーを務めるジャスティン・マークスらが「オーセンティックに作りたい」と“本物”を目指す中で、真田に「プロデューサーも兼ねてほしい」と依頼があり、「それは望むところだと。プロデューサーとして関われるなら、日本人が見て納得する戦国ドラマを世界に発信できるのではないか」との思いで快諾した。

そして、「時代劇通の方が見ても納得していただけるものを作りたいというのがこだわりであり、目指すところでした」と語る真田。本物の戦国ドラマを作るためにまず、その道を極めたスタッフを集結させた。

「ハリウッドのスタッフに加えて、日本の時代劇をずっと作ってきた職人さんたちを、衣装、小道具、所作指導など各パートに布陣しようというのがまず第一歩で、日本の各地からエキスパートをお呼びしたのですが、これはハリウッドにおいては画期的なことでした。そして、日本人の役は全員日本人にするという条件で飛び込んだので、キャスティングにも関わらせていただきました」

ハリウッドの制作陣は、真田の意見を取り入れ、日本の文化も尊重してくれたそうで、「大きな第一歩になった気がします」と手応えを口に。「これまでも俳優としてクリエイティブなことに関してアドバイスをすることはありましたが、プロデューサーとなると気兼ねなく意見が言えますし、日本の時代劇の専門家のチームも組めましたし、現場でもモニターをチェックし逐一指示が出せるので、それは大きな違いでした」と語る。

徳川家康にインスパイアされた主人公役「争いが絶えないこの時代だからこそ」

徳川家康にインスパイアされた虎永の物語を、今の時代だからこそ届けたいという思いも強く持っている。

「虎永を今演じる意味を考えた時に、いつまで経っても争いが絶えないこの時代だからこそ、戦乱の世を終わらせて平和な時代を築き上げた男・家康からインスパイアされた虎永を演じる意味があるのではないかと思いました」

また、日本とハリウッドのキャストとクルーが一丸となってこの物語を作ることにも、大きな意味を感じているという。

「東西のキャスト・クルーが一丸となって、言葉の壁、文化の壁、目の色の違い、宗教の違いを乗り越えて家康=虎永の物語を作るということ自体が、非常に大きなメッセージというか、モデルケースとして世界にアピールできるのではないかと。それは制作過程においても大きなモチベーションでした」

真田は撮影終了から約1年半、仕上げ作業にも関わり納得のいく作品を完成させた。

「編集や音のレコーディング、VFXのチェックまで、去年の暮れまでやっていて、その都度ダメ出しをし、ハリウッドのクルーも文句を言わずに直しを入れてくれて、最後にダメ出ししたところが全部直ったものを見た時に、よくここまで頑張ってくれたなと思いました」

『ラスト サムライ』(03)で海外に進出してから約20年。「ハリウッドが日本の文化を尊重し、僕の意見を聞いてくれる時代が来たんだということも実感しました」としみじみと語る。

「これは自分にとって大きな進歩というかステップだなと。これがまた未来へつながる布石になればと思いますし、作品が世界で成功してくれれば、今後も日本の題材を世界に届けられることにつながるので、今は1人でも多くの人に見ていただきたいという思いです」