国内最大級の写真映像関連イベント「CP+2024」(シーピープラス2024)が2月22日、パシフィコ横浜で開幕した。オンラインイベントもあわせて開催され、期間は2月25日まで。入場無料だが、Web事前登録制となる(オンラインは参加登録不要)。ここではソニーブース(ホールD)の模様をレポートする。

  • CP+2024開幕。ソニーは豊富な撮影体験からプロ向け新提案まで、“感動創造”に寄り添う

ブース中央エリアでは、CP+開幕日に発表されたばかりの新しいズームレンズ「FE 24-50mm F2.8 G」をいちはやくポートレート撮影で試せる場所を用意。また、「α9 III」をはじめとするミラーレスα、多彩なEマウントレンズ群、配信者向けVLOGCAMの撮影体験コーナーなどを展開する。

  • フルサイズ対応、F2.8通しでコンパクトな標準ズームレンズ「FE 24-50mm F2.8 G」

撮影体験コーナーでは、複数人のモデルを試し撮りできるほか、スポーツの激しい動きを撮影できる時間も用意。最新のカメラボディとEマウントレンズの組み合わせによる、高い被写体認識や描写性能を体感できるようにした。

  • ポートレートなど多彩な撮影体験が行える

さらに、ソニーのカメラを5Gネットワークに接続してライブストリーミングしたり動画・静止画データをFTPサーバーに転送したりできる新製品「ポータブルデータトランスミッター」(PDT-FP1/3月22日発売予定)など、主に映像制作ユーザー向けの新提案も。

変わったところでは、ソニーら3者連携で進めている「STAR SPHERE」(スター・スフィア)プロジェクトの一環として、軌道上を周回している人工衛星「EYE」で地球を撮れる撮影体験コーナーも用意している(人数限定・要事前申込)。

  • ソニーの人工衛星「EYE」を使った「宇宙撮影体験」コーナー

  • 会場のパシフィコ横浜。初日はあいにくの曇天

若年層からハイアマまで“感動創造”に寄り添うソニー

CP+2024で、ソニーは「Unlock Your Creativity あなたの創造力を解き放つ」をキャッチコピーに掲げ、静止画・動画を問わず、すべてのクリエイターとともに“感動を創り出す”製品・サービスを紹介。カメラ製品からサービスまで提供できるソニーならではのブース構成となっている。

  • CP+2024のソニーブース。今年も多彩なカメラ・レンズ製品が中央前面にズラリ

  • ブース内の各コーナーの詳細

中央エリアの左側は、“ポートレート”、“旅”をテーマにした撮影体験コーナーになっており、モデルを使ったポートレート撮影コーナーでは、ミラーレスαの現行機種と最新ズームレンズ「FE 24-50mm F2.8 G」を試用機材として用意。システムのコンパクトさやフルサイズならではの描写性能に加え、F2.8通しのボケ感や、近接撮影性能の高さを体感できる。

  • 中央エリア左には、“ポートレート”、“旅”をテーマにした撮影体験コーナーを展開

  • 最新ズームレンズ「FE 24-50mm F2.8 G」

  • 女性のポートレート撮影体験

旅がテーマの撮影体験コーナーでは、キャンプをイメージした造りになっており、さまざまな被写体を使って“映えるTips”を実体験。VLOGCAMやXperiaの最新機種を使い、前ぼけやクリエイティブルック、広角レンズの活用の仕方を学べる。

  • キャンプをイメージした造りの撮影体験コーナー

  • “映えるTips”を、さまざまな被写体を使いながら学べる

  • VLOGCAMやXperiaの最新機種がズラリ

  • 2024年のCP+ソニーブースでは、アーティストのLiSAが最終日2月25日に開催されるセミナーに登壇。LiSAが撮り下ろした作品展示も行っている

ソニーならではの高精度AFを、スポーツ撮影で体感

中央エリアの右側は、フェンシングやBMX(自転車競技)、ブレイクダンス(ブレイキン)といったスポーツの撮影体験ができるコーナーになっている。

ここでは、最新のAIプロセッシングユニットを搭載したミラーレスカメラ「α9 III」をはじめ、AI搭載モデルの豊富なラインナップを手に取って試せる。ただし、各競技の実演は一定の間隔で行われており、時間帯によってはモデル撮影のパートになっていることもある。

  • スポーツの撮影体験コーナー。時間帯によっては、コーナーの中を自由に歩き回るモデルたちの撮影を試せることも

ソニーブースで撮影できるモデルは、これまで女性がメインだったが、2024年は新たに男性のモデルが各所に加わっている点に注目。さまざまな来場者に撮影体験を楽しんでもらえるよう工夫したそうだ。

  • 今年は、モデルの中に男性がいるのも注目ポイント

  • 撮影機材の一例

  • BMXの実演

  • 妙技が繰り出されるブレイクダンス(ブレイキン)の実演も

さらに、ブース後方の壁面上部には、Gマスターの大口径望遠単焦点レンズ「FE 300mm F2.8 GM OSS」をはじめとする、望遠レンズを使った撮影体験コーナーも設けている。

  • 高価な望遠レンズがズラリと並ぶ、後方の撮影体験コーナー

  • α9 III+FE 300mm F2.8 GM OSSの組み合わせは、計3セット用意されている

  • BMXの実演を望遠レンズで激写!

ソニーブースを訪れて指定のSNSのソニー公式アカウントをフォローした人には、2つの来場特典を用意。X(Twitter)アカウントをフォローすると「FE 70-200 F2.8 GM II」キーホルダー、InstagramアカウントをフォローするとLiSA撮影作品のオリジナル壁紙をプレゼントする。

  • X(Twitter)のソニー公式アカウントフォローでもらえる「FE 70-200 F2.8 GM II」キーホルダー

ソニーのプロ向け新提案。5Gでライブ配信、カメラから直接クラウド転送

3月22日に発売予定の「ポータブルデータトランスミッター」の実機も展示。ミラーレスαや映像制作向けCinema Lineシリーズの周辺機器という位置づけではあるが、ソニーのカメラとXperiaの開発部隊の知見を投入し、既存の“プロ向けXperia”を発展させたようなデバイスとして、業界人から注目を集めているようだ。

  • ポータブルデータトランスミッター(PDT-FP1)

  • 概要と利用イメージ

ソニー製のカメラをネットワークに接続するためのデバイスで、USBやHDMIでカメラに接続し、撮影データ(写真/動画)などを5Gモバイル通信を介してFTPサーバー/クラウドストレージに転送したり、ライブストリーミングしたりできるようにするもの。OSにAndroid 13を搭載し、ソニーが展開するクラウド制作プラットフォーム「Creators' Cloud」の各種アプリなどが利用できる。

  • ソニーブースでは、KDDIのSIMカードを挿入したPDT-FP1を出展。5Gで通信できているタイミングもあった

  • Cinema Line FX30に装着したところ

  • PDT-FP1とFX30を組み合わせた展示。両者はHDMI接続した状態で、実際の使用感を体感できた(通信を除く)

  • PDT-FP1(左)と最上位Xperia(右)の5G通信速度の比較デモが行われていたが、4G+接続になることが多い模様

ソニーのクラウド制作プラットフォーム「Creators’ Cloud」の機能強化のデモ展示も。Cinema LineのFX3やFX30などのカメラ本体のソフトウェアアップデートを行うことで、スマホ向けの「Creators’ App」と連携し、3つの機能が新たに加わることを紹介していた。

  • Creators’ Cloudの機能強化のデモ展示

具体的にはまず、カメラ本体とスマホを有線でつなぎ、カメラのアップデート・日時などの設定・リモートコントロールなどが行えるようになる。

また、カメラで撮影した画像・動画を、スマホを介さずに直接クラウド上のストレージにアップロードできる、「クラウドアップロード(カメラダイレクト)」にも新対応。自宅の無線LANへの接続設定をしておくと、カメラの電源オンで自動的に指定のデータをCreators’ Cloudのクラウドストレージにワイヤレス転送できるようになる。

クラウドに転送された画像や動画は、さまざまなデバイスからすぐに参照し、編集作業に移れるという。2024年3月以降は、α1、α9 III、α7S III、α7 IVの4機種もクラウドアップロード(カメラダイレクト)機能に対応予定とのこと。

  • クラウドアップロードを行っていると、背面液晶モニターに雲のアイコン(赤丸の場所)が表示される

  • クラウドストレージにアップロードできるファイル形式はアプリ上で選べる

このほかFX3やFX30では、Creators’ AppからワイヤレスでLUTデータをインポートして使える機能も新たに加わる。従来はSDカードに使いたいLUTを書き込んでFX3やFX30に読み込ませる必要があったが、その手間を省いたかたちだ。

  • Creators’ AppからFX3やFX30などの対応機種に、LUTデータをワイヤレスでインポート可能に

ソニーの人工衛星で“地球撮影体験”!?

ソニーは東京大学、JAXAとタッグを組み、「STAR SPHERE」というプロジェクトを展開中。ソニー製カメラを搭載した超小型人工衛星「EYE」を、2023年1月に地球の周回軌道上に打ち上げており、それを使ってユーザーが宇宙から地球の任意のポイントを撮影できるサービス「宇宙撮影体験」への参加者を、2月から順次募集している。

  • ソニーのカメラを搭載した人工衛星「EYE」の模型

  • STAR SPHEREの概要

EYEは、姿勢制御を司る機能の一部に問題が生じたものの、現在は太陽光パネルを太陽に向けて安定した電力供給ができる姿勢をとっており、運用に必要な最低限の姿勢制御は行えている。ただし、当初実現する予定だった一部の機能(夜景撮影など)は行えない状態にある。

ソニーではEYEの軌道を予測し、EYEが見る宇宙からの景色を体験できるWebアプリ「EYEコネクト」を公開中。さらに2月25日までの期間限定で、初となる第1回「宇宙撮影体験」の参加者公募を実施中だ。当選した最大30組の一般ユーザーは、EYEを使って“世界に一つだけの宇宙規模の記念写真”を撮ることができる(複数人のグループ単位でも参加可能)。EYEによる撮影期間は3月12日~3月29日。詳細はSTAR SPHEREの特設サイトを参照のこと。

  • EYEコネクトを使い、日本を撮影したイメージ(実際の写真では、雲などさまざまな気象条件で見え方が変わる可能性がある)

  • ハワイの撮影イメージ(同)

その他の展示

  • ソニーのカメラレンズの分解モデルを見られるエリア

  • 高精度AFを支える仕組みが実際に動いている様子を見られる

  • Gマスターレンズならではのボケ描写に寄与する、絞り羽根のなめらかな動きも見て楽しめる

  • 昨年のソニーブースでも大きく取り上げられていた、ロービジョン者向けの網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」が今年も登場

  • ソニーが運営する実践型ワークショップ「CREATORS' CAMP」に関する展示も。映像制作に本気で向き合いたい人たちが集い、チームで地域のPR映像を制作するイベントだ

  • ソニーブース左端では、さまざまなスペシャルセミナーを開催

  • CP+ソニーブースの隠れた人気スポット、カメラのセンサークリーニングサービス。担当者が実際にセンサーをキレイにしているところを見せてくれた

  • クリーニングサービスの部屋は、開幕時点では閑散としていたが、最盛期は300件ほどの申込があり、すべてのスペースが埋まるほどだそう

  • ソニーのプロサポート会員向けラウンジでも、さまざまな機材を手に取って試せるようになっていた