iPhoneにケーブルを挿すということは、バックアップなどデータの送受信か、内蔵バッテリーの充電が目的....という発想は過去のものとなりました。最新のiPhone 15シリーズでは、外部インターフェイスがLightningからUSB-Cに変更されただけでなく、iPhoneから電力を供給(給電)することが可能になっています。
iPhone 15シリーズにおける電力の融通は、USB-Cケーブルで接続された2つのデバイスの両方が受電/給電可能な場合(Dual Role Powerデバイス)、ケーブルを接続するタイミングで役割が決定されます。あるタイミングで受電状態のデバイスが接続されれば給電側に、給電状態のデバイスが接続されれば充電側になる、というUSB PDの仕様に従います。
ただし、Dual Role Powerデバイスが受電・給電どちらの状態をとるかは、30 - 70%の範囲で設計の裁量が委ねられています。受電・給電の関係を入れ替える機能(ロールスワップ)も定義されているため、一部のAndroid端末では受電・給電の設定を任意に切り替えることが可能です。
iPhone 15にUSB-Cケーブルで機器を接続したら電力が低下したということは、iPhone 15が給電側に回ったと考えられます。USB-Cを採用した機器には、ACアダプタのように給電専用もあれば、USBメモリのように受電専用もありますから、iPhone 15がモバイルバッテリーと同じ役割になってしまう可能性はじゅうぶんあります。
実際、iPhone 15とUSB-Cケーブルで接続すると受電側に回ることがあるモバイルバッテリーの存在も報告されています。Dual Role PowerデバイスとiPhone 15を接続するときには、バッテリー残量を増やすつもりがかえって減らしてしまったということがないよう、接続直後に受電・給電の状態を確認しましょう。