日本テレビは、“多様性”に触れる週末キャンペーン『Colorful Weekend(カラフルウィークエンド)』を、23~25日の3連休に初めて実施する。「一人ひとり違う私たちがお互いを知り、誰もが自分らしく生きられるヒントを届ける」というテーマに沿い、土曜の夜と日曜の昼に2つの特番を放送するほか、レギュラー放送の12番組が参加して関連企画を展開するものだ。
企画・提案者の1人である日本テレビ報道局プロデューサーの白川大介氏は、ゲイを公表した性的マイノリティの当事者。社長室サステナビリティ推進事務局を兼務し、多様な人材の活躍と共生というテーマのもと、多様性についての研修や、日本最大規模のLGBTQイベント「東京レインボープライド」へのブース出展などの活動を行っている。
今回のキャンペーンはどのように立ち上がり、週末の日テレをどのように彩ろうとしているのか。白川氏に話を聞いた――。
“局としての積極的な取り組みを強みに
このキャンペーンが立ち上がったのは、トランスジェンダー女性であることを公表して『news zero』にコメンテーターとして出演もした谷生俊美氏(グローバルビジネス局スタジオセンタープロデューサー)と白川氏で、定期的に行っていた企画ブレストが発端。
「谷生さんも僕も、性的マイノリティであることをオープンにして、それが受け入れられて働けている点において、日テレはすごくいい会社だなという思いがあったんです。そこで、局として“多様性”に関して積極的に取り組んでいることを強みとして、世の中の人に知っていただくことができないかと考え、これまで日本テレビでやってきた『カラダWEEK』や『Good For the Planet グップラ』のようなシリーズとして、キャンペーンを発案しました」
そこから、白川氏や、当時『news every.』に出演していた小西美穂キャスター(現・関西学院大学総合政策学部特別客員教授)、報道局(当時)の長谷部真矢プロデューサーで立ち上げた、組織を超えた有志が参加する「ジェンダーチームプロジェクト」や、サステナビリティ推進事務局のメンバー、この問題に関心ある社員ら24人のメンバーが集まり、開局70年の企画募集に提案した。
バラエティでは「配慮」のイメージも持たれがちだが…
キャンペーンの前提としてあるのは、“多様性”がエンタメを制約するものではなく、むしろ面白く飛躍・成長させるものであるということ。そこで、誰もが知っている名曲に秘められたメッセージをひも解いていく音楽番組『世界を変えた20人のアーティスト ~曲に秘められたメッセージ~』(24日19:00~)と、70年の膨大な映像アーカイブを通して日本社会の変化を見つめていくドキュメンタリー『Colorfulライフラリー ~人生ってみんな違ってスバラシイ~』(25日15:00~ ※関東ほか)という2つの特番を配置した。
「“多様性”という言葉を聞いたときに、堅いとかニュースで伝えなければいけないと思われがちで、バラエティ番組においては、ともすれば配慮しなければいけないことというイメージを持たれる方も多いと思うんです。しかし、谷生さんが早い段階から、“私たちはエンタメを作る会社だからエンタメを通して伝えよう”とチームの意識をまとめていきました。そこで、最終的には音楽番組という形でエンタテインメントを通して多様性に楽しく触れてもらう。さらに、人生ドキュメンタリーの蓄積を見ることによって、社会にいる多様な人について知ってもらうという2つの柱に収れんされていきました」
『世界を変えた20人のアーティスト』は黒柳徹子と小泉孝太郎がMCを務め、岡本知高、Cocco、後藤真希、s**t kingz、東方神起、美輪明宏が出演。特集するのは、MISIA、ビートルズ、BTS、GLAY、中森明菜、Official髭男dismといったアーティストたちだ。
黒柳は「私は音楽番組が大好き! 新しい音楽が聞けると思うだけで、今からわくわくしています。しかも小泉さんとも初めてご一緒できますし、とてもうれしいです」、小泉は「まさか徹子さんとこのような形でご一緒できる日が来るだなんて夢にも思っていませんでしたので、心から光栄です! 様々なアーティストの方ともお会いできますので、限られた時間の中で思い切り楽しみたいです」とコメントしている。