気象庁は2月21日、3月5日から新しいスーパーコンピューターシステムの運用を開始すると明らかにした。これによって今年開始予定の線状降水帯による大雨予報や、クラウド技術を活用した大容量データの民間事業者向け提供も行うという。
気象庁では気象情報の発表や気候変動の監視・予測のためにスーパーコンピューターを用いた数値予報モデルを活用しており、このスーパーコンピューターを6年ぶりに更新したという内容。富士通が構築を担当しており、第4世代Xeonプロセッサを集約した「PRIMERGY CX400 M7」を導入。これによって前システムから最大2倍の性能向上を実現するほか、昨年3月に導入した「線状降水帯予測スーパーコンピュータ」とあわせて最大4倍の計算能力を実現する。
この性能強化とスーパーコンピューター「富岳」を活用した技術開発を反映し、水平解像度2kmの数値予報モデルの予報時間を10時間から18時間へと延長。さらにこの数値モデルを利用することで、今年開始予定の府県単位での線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけに活用するという。
新システムの一部にはクラウド技術も導入されており、気象庁が保有するデータを民間事業者や研究機関等にも公開する点もポイント。民間事業者が独自に実施する花粉飛散予測の精度向上に必要な詳細データの提供や、これまで利用できなかった大容量データを新たに転送できるようになったという。
なお、画像にあるサーバー筐体側面の“NAPS”という文字はこのシステムを含む「Numerical Analysis and Prediction System(数値解析予報システム)」の気象庁による略称で、富士通の商標ではない。