第72期王座戦(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)は予選が進行中。2月20日(火)には二次予選の計2局が行われました。このうち、関西将棋会館で指された山崎隆之八段―斎藤慎太郎八段戦は111手で山崎八段が勝利。相掛かりの力戦を制して挑戦者決定トーナメント入りに王手をかけました。
予選突破まであと2勝
振り駒が行われた本局は先手となった山崎八段の誘導で相掛かりへ。高く五段目に飛車を引いたのは用意と思われる作戦で、3筋の歩交換から飛車桂の攻め駒を活用する狙いが見て取れます。実戦は後手の斎藤八段が雁木の構えを取り、右辺から戦いが始まりました。
左桂の跳ね出しで口火を切った後手の斎藤八段は囲いの一部と思われた二枚銀も前線に繰り出し猛攻。こうなると居玉のままの後手陣も深い計算に基づいていたことがわかります。難解な押し引きはその後も続きますが、先にリードを奪ったのは山崎八段のほうでした。
山崎八段が快勝
激しい駒の取り合いが落ち着いたところで山崎八段はじっと自陣に手を戻して自玉の安全を確保。次いで角取りに桂を打たれた局面はしばらく受けに回るほかないようでも、ここで攻め合いに踏み込んだのが好判断でした。角は取られても取り返した形が安定しています。
その後は難しい局面はありながらも、一度傾いた流れを引き戻すのは斎藤八段をもってしても困難でした。終局時刻は19時15分、自玉の詰みを認めた斎藤八段が投了。山崎八段は快勝で予選突破まであと1勝と迫るとともに、公式戦通算700勝を達成しています。
水留啓(将棋情報局)