東京商工リサーチは2月16日、「ゾンビ企業」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2月1日~8日、大企業および中小企業を対象にインターネットで行われ、4,584社の有効回答を集計・分析した。

3社に1社が「ゾンビ企業に市場環境が歪められていると感じる」と回答

  • ゾンビ企業の自社業界への悪影響について

    ゾンビ企業の自社業界への悪影響について

「ゾンビ企業」とは、健全な経営状態ではないにもかかわらず、融資や補助・助成金などにより倒産や廃業を免れている企業のこと。

まず、「ゾンビ企業により、貴社業界の市場環境が歪められていると感じることはありますか?」と尋ねたところ、「感じる」と回答した企業は36.2%で、3社に1社にのぼることが判明。日本の名目GDPが世界4位に転落し、企業の生産性や稼ぐ力の向上が再びテーマに上がることが必至な状況下で、企業向け支援のあり方にも一石を投じそう。

業種別にみると、「感じる」では、「政治・経済・文化団体」(69.5%)や「倉庫業」(66.6%)で多く、一方「感じない」では、「協同組合」(87.5%)や「電気機械器具製造業」(78.4%)で多かった。

  • ゾンビ企業に市場環境が歪められていると感じる理由

    ゾンビ企業に市場環境が歪められていると感じる理由

また、どのような点で市場環境が歪められていると感じるのかを聞いたところ、「ゾンビ企業が不当に安い単価で受注(販売)し、適正利益が取りにくい」(79.4%)がトップに。次いで「ゾンビ企業が業容よりも過大に人材を抱え、業界内の採用難に拍車をかけている」(24.8%)、「ゾンビ企業の幹部が業界団体で幅を利かせている」(15.5%)と続いた。

各回答を産業別で分析すると、「適正利益が取りにくい」は、「不動産業」が55.1%と半数にとどまったが、「2024年問題」に直面する「運輸業」では95.3%、さらに建設業でも85.1%と高率に。産業ごとに企業支援のボリュームや取引先との深化が異なることなどが背景にあるよう。なお、「業界団体で幅を利かせている」は、「農・林・漁・鉱業」では33.3%だった。

  • 融資や補助・助成金などがなければ、事業の継続が難しい状況にあると感じますか?

    融資や補助・助成金などがなければ、事業の継続が難しい状況にあると感じますか?

次に、「貴社は、融資や補助・助成金などがなければ、事業の継続が難しい状況にあると感じますか?」と質問したところ、31.2%の企業が「難しいと感じる(非常に+少し)」と回答。

規模別では、大企業が18.4%だったのに対し、中小企業では32.6%という結果に。業種別で分析すると、「感じる」のトップは「社会保険・社会福祉・介護事業」の68.1%、「感じない(全く+あまり)」では「保険業」の100.0%が最も多かった。