歌手で女優のアイナ・ジ・エンドが、18日に都内で行われた「第97回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」に出席し、新人女優賞を受賞した。
■アイナ・ジ・エンド、美背中あらわなドレス姿で会場魅了 キネマ旬報 ベスト・テン
映画『キリエのうた』で映画初主演を務めたアイナ。同作での好演が評価され、新人女優賞を受賞した。
アイナは「この度はキネマ旬報という日本の歴史ある場に立たせていただき、本当にありがたいです。夢みたいです」と喜びを表現。そして「私は岩井俊二監督にみつけていただいて、拾っていただきました。こんな私が映画に出れるのか、不安でたまりませんでした。でも、お芝居の教科書みたいな広瀬すずちゃんがいつも背中で波動を出してくれて、そこについて行くとお芝居が楽しくなっていきました。なので私はこの賞を自分1人でいただいたとは思いません。広瀬すずちゃん、なにより岩井俊二さん、そして私の心を芯まで温めて、育ててくれた『キリエ』チームのスタッフの皆さん、映画館に足を運んでくださったファンの皆さん、みんなのおかげで今ここに立てています。本当にありがとうございます」と感謝を伝えていた。
「歌うことと演じることのおもしろさの違いは?」という質問には、「あまり違いというものを感じなかった」と答えたアイナ。「コンテンポラリーダンスを4歳からやっていて、お芝居は、この床や空気、見る人とかその場で全部変わるという部分が、コンテンポラリーダンスと似ているなと思いました。(今回の撮影でも)覚えたセリフをしゃべるだけじゃなくて、カットがかかった後もアドリブを続けさせてくださった岩井さんのおかげで、どんどん開放できる自分に出会えました」と話した。
また、劇中曲6曲を制作したことについて聞かれると、「当時、BiSHというグループをやっていて、解散までの1年間ツアーを駆け抜けている時期で。ギターを相棒のように持ち歩く日々でした。夜な夜な曲を作るもので、近隣の迷惑にならないようにタオルで口をふさぎながら作曲していました」と振り返る。しかし、楽曲制作は順調ではなかったそうで、「とある日に『自分はもうできない!』と思って……岩井さんに『曲書けないかもしれません。すみません』と伝えたら、『アイナさんが書くほうがあとで後悔がないと思います』と言ってくださった」と岩井監督からの言葉を明かし、「私より素敵な曲を書ける方はたくさんいるのに、私に委ねてくださって、その言葉がとても強くて『やるしかない!』と。そうすると、焦燥感とかヒリヒリした気持ちが自然と曲ににじんできたんです。そのおかげで『キリエのうた』にヒリヒリしたような心が宿っていきました」と楽曲完成の裏側を語った。
■第97回キネマ旬報ベスト・テン 受賞・登壇者一覧
- 助演女優賞:二階堂ふみ
- 助演男優賞:磯村勇斗
- 外国映画作品賞:『TAR/ター』
- 外国映画監督賞:『TAR/ター』トッド・フィールド監督 ※代理…ギャガ 松下剛氏
- 読者選出外国映画監督賞:『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』マーティン・スコセッシ監督 ※代理…東和ピクチャーズ 山田滋天氏
- 読者選出日本映画監督賞:『Gメン』瑠東東一郎監督
- 文化映画作品賞:『キャメラを持った男たち-関東大震災を撮る-』井上実氏
- 読者賞:連載「映画を見ればわかること」川本三郎氏
- 新人女優賞:アイナ・ジ・エンド
- 新人男優賞:塚尾桜雅
- 主演女優賞:趣里 ※代理…塚本晋也監督
- 主演男優賞:役所広司(コメント映像での出演)
- 日本映画脚本賞:『せかいのおきく』阪本順治氏
- 日本映画監督賞:『PERFECT DAYS』ヴィム・ヴェンダース(コメント映像での出演)
- 日本映画作品賞:『せかいのおきく』 ※登壇者…原田満生