現在放送中のNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合 毎週日曜20:00~ほか)で主人公・紫式部(まひろ)役を演じている吉高由里子にインタビュー。平安時代が舞台の本作に出演して感じた現代とのギャップについて話を聞いた。

『光る君へ』紫式部(まひろ)役を演じている吉高由里子

大河ドラマ第63作となる『光る君へ』は、平安時代を舞台に、のちに世界最古の女性文学といわれる『源氏物語』を生み出した紫式部の人生を描く物語。主人公・紫式部(まひろ)を吉高、紫式部の生涯のソウルメイト・藤原道長を柄本佑が演じ、脚本は大石静氏が手掛けている。

平安時代中期を舞台とした大河ドラマは、平将門を描いた『風と雲と虹と』(1976年)以来48年ぶりで、同作に次いで2番目に古い時代となる。吉高は、平安時代が舞台の物語ならではの魅力について「すごく画面が優しい」と言う。

「色使いが淡く繊細ですし、色合わせが、それとその色を組み合わせるんだという着物もあって、すごく五感に敏感な時代だなと。目で見るもの、聞こえるもの、匂い、風、音など、揺さぶられるものが風景の中にいっぱいあって、それが歌になる。今だったら見落としてしまいそうな小さい幸せをうまく活かしているなと思いました」

平安時代と現代の違いを感じることも多いようで、「平安時代は身分が大事だなと思いました」と語る。

「生まれてきた家で可能性が限られる時代だと思うと、女性も男性も苦しいし、男の人で政治権力の階段を上がっていきたい人たちにとっては、何ともはがゆい時代だったんだろうなと。1人の人生の可能性がすごく小さい時代だなと思いました」

そして、「恋愛よりも政治的な駆け引きのほうが大変だったんだろうなと。裏切ったり裏切られたり、のし上がったり、切り捨てたり、いっぱいあったんだろうなと思うと、男もつらいですよね」と平安時代の男性の気持ちに寄り添った。

また、平安時代の占いの重要性にも驚いたという。

「占いがすべての時代で、除霊とか呪詛とかすごいなと思いました。そういうものに祈りを込めているのかもしれないですが、こっちの方角は運気が悪いからって遠回りして3日間かけて目的地に行くとか、今だとあまり考えられないなと思います」

矢部太郎が演じる、まひろの従者・乙丸の存在にも驚いたそうで、「ずっとついてくるんだなと。姫も姫で大変だなと、好き勝手どこにでも行けるわけではないんだなと思いました。お金がない人たちは自由だったみたいなので、お金持ちとお金持ちじゃないのとどっちがいいんだろうと思ったり、いろんな想像をしました」と語った。

■吉高由里子
1988年7月22日生まれ、東京都出身。2006年、『紀子の食卓』で映画デビュー。2008年に『蛇にピアス』で主演し注目を集め、2014年にはNHK連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインを務める。近年の主な出演作は、ドラマ『東京タラレバ娘』(17)、『正義のセ』(18)、『わたし、定時で帰ります。』(19)、『知らなくていいコト』(20)、『危険なビーナス』(20)、『最愛』(21)、『風よ あらしよ』(22)、『星降る夜に』(23)、『ユリゴコロ』(17)、『検察側の罪人』(18)、『きみの瞳が問いかけている』(20)など。

(C)NHK