Dynabookは、自社開発のノートPCからビジネスソリューションを訴求するイベント「dynabook Days 2024」を開催している。

開催するのは東京、名古屋、大阪の3カ所で、東京会場では2024年2月14日から15日にかけて実施され、その初日にはインテル最新(第14世代にあたる)CPU「Core Ultra」を搭載した個人向けモバイルノートPC「dynabook R9/X」の説明会も行われた。

  • 既に紹介済みだが、やっぱりメインの展示は当日発表された“Core Ultra”なdynabook R9だろう

イベントではdynabookシリーズに導入した技術的特徴や、近年関心を集めているAIに関連したビジネスソリューション、そして、まだコンセプトモックアップの段階にあるXRグラス(拡張現実空間を活用できるスマートグラス)とAIアシストを連動したソリューションを展示。また、会場の一画には歴代DynaBook&dynabookもずらりと並び、dynabookの祖ともいえるJ-3100も姿を見せていた。

前編となるこの記事ではCore Ultra搭載のノートPC新製品「dynabook R9/X」をはじめとしたPC製品やその機構にフォーカス。後編では昔懐かしの歴代DynaBook&dynabookノートPCをじっくり紹介していく。

Core Ultraが意味を持つAI活用デモ

Dynabook Days 2024の開催に合わせて発表されたdynabook R9/Xには、インテルの最新世代CPUとなるCore Ultraが実装されている。

このCPUにはAI演算に特化したNPUを組み込んでいる。展示でも、NPUに対応したアプリケーションとして画像生成AIの「Stable Diffusion」を用い、データベースの画像を検索し、OpenVINOで提供しているAIプラグインを使ってテキストで指定した条件に従って画像を生成する処理を紹介していた。

  • こちらも既報だがNPUの有無によるAI処理の違いを見せるデモ

Core Ultra搭載dynabookと第13世代Coreプロセッサー搭載ノートPCで実行して描画にかかる処理時間の違いを比べていたが、Core Ultra搭載dynabookでは従来の3分の2程度の時間で処理を終えている。

加えて、Core Ultraに組み込んだNPUのおかげで消費電力が劇的に少なくなっていること、さらには、統合されたグラフィックスコアがIntel Arc Graphicsとなったことで描画処理能力大きく向上したことを訴求していた。「第13世代だったらパフォーマンスが足らなくて動作しなかったPC ゲームでも実用的な描画速度が出せている」(説明スタッフ)

また、別の説明スタッフによると、ローカル側で動作できるAIエンジンはまだ数が少ないが、現在インテルが進めているOpenVINOプログラムでNPUを活用するAIアプリケーション開発を支援するプロジェクトがあり、その成果として2024年後半からエッジ側で AI演算を実行するアプリが増えてくる見込みという。

  • 画面右のパフォーマンスメーターにNPUが認識されており、検索ワードのパターン認識演算プロセッサーにNPUが割り当てられているのがわかる。また、「OpenVINO」のロゴも表示されている

dynabookの中身と将来をここで知る

この他のdynabook関連では同社ノートPCの機構的な特徴を紹介するブースを展開していた。

dynabookシリーズの独自技術である「エンパワーテクノロジー」(高クロックを維持してCPUを動かし、安定して高いパフォーマンスを出す技術)では、放熱技術と高密度実装技術がその特徴とされている。

展示ではその中核となるダブルファン・ダブルフィン放熱機構の実物展示や、クーラーユニットの実物展示に加えて、dynabook X8 CHANGERで新たに導入された「ダスト・クリーニング機構」についても、その厚肉のフィルターやドライバーで開けられるカバー機構などを紹介していた 。

  • エンパワーテクノロジーを支えるダブルファン・ダブルフィンの放熱機構や、吸気で溜まった埃をユーザーが掃除できるダスト・クリーニング機構などが紹介された分解展示

また、dynabook X8 CHANGERの特徴の1つであるキーボードについても、打ち心地の良さを実現する2.0mmのキーストロークを訴求していた。

さらに、普段見る機会が少ない筐体表面温度に関しても、dynabook G83と他社製ノートPCの表面温度をサーモグラフィーで測定。Microsoft teamsによるWeb会議中にWebカメラを起動して、動画再生時における筐体表面温度を比較し、高温となる赤い映像が比較対象と比べてdynabook G83で少ないことを示していた。

  • キーボードで大事なのは「速く打てる」「正確に打てる」「打ち心地がよい」

  • サーモグラフィーで比較した筐体表面温度の違い

XRグラスとAIで日常生活を支援する取り組みも

開発中のソリューションを展示するエリアでは、XRソリューションのコンセプトモデルを展示していた。

このコンセプトではXRグラスをかけたユーザーをAIの利活用で日常生活を支援する。XRグラスには視野にいる人物に関する情報を漫画の吹き出しのようなオブジェクトに表示する。

コンセプトの説明ではAIが会話内容を認識してテキストに表示することで聴力が弱くなって聞こえにくい人も安心して会話が楽しむことができたり、AI認識でドキュメントの内容を要約することで、忙しい時でも重要な情報を短時間で確認できたりできるとしている。

  • XRグラスとAIアシストを連携したソリューションのコンセプト展示。デモでの例では、PC画面の表示を拡張し、XRグラスに複数の画面を切り替えて表示する様子などを体験できた

  • AI演算はクラウド側で行うという