日経平均は史上最高値に肉薄!

日経平均株価が89年末の史上最高値に肉薄しています(本稿執筆時点の2月16日正午時点では未達)。また、外国為替市場では米ドル/円が昨年11月以来となる150円台を示現しています。そうした金融市場の動きの背景には、日本銀行(以下、日銀)の金融政策に関する見方があるでしょう。

金融市場では、今年4月までに日銀が2016年に導入したマイナス金利を解除するとの見方が有力です。ただし、植田日銀総裁は2月9日の衆院予算委員会での答弁で「先行きマイナス金利の解除を実施したとしても、緩和的な金融環境が当面続く可能性が高い」と述べました。金融市場はそれに強く反応したようです。

1月26日付け「日銀は4月にマイナス金利の解除に動くか」もご覧ください。

マイナス金利解除を妨げうる要因・・

そもそも「4月までにマイナス金利解除」との金融市場の想定も少し怪しくなってきたように思われます。日銀がマイナス金利を解除できるかは、今後の経済情勢次第でしょう。その点、利上げの後ズレを示唆する材料も散見されます。それらは、(1)景気の減速、(2)賃金の伸びの鈍化、(3)インフレ率の鈍化、などです。

GDPは2四半期連続マイナス

まず、昨年10-12月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比マイナス0.4%でした。7-9月期がマイナス3.3%と落ち込んだ反動でプラス成長が予想されていました。しかし、2期連続でマイナスとなったことで、簡便的にはリセッション(景気後退)との判断もできなくはありません。物価高の影響で個人消費が低迷したことが重石となったようです。

賃金の伸びは実質マイナス

毎月勤労統計によれば、昨年12月の現金給与総額(賞与含む)は前年比1.0%増と市場予想(1.4%増)を下回りました。12月のCPI(消費者物価指数)は前年比2.6%上昇だったので、インフレを考慮した実質ベースでは大幅なマイナスだったことになります。今年の春闘では大手企業で比較的高い賃上げが期待できそうですが(集中回答日は3月13日)、中小企業にも広がりをみせるか、注目されるところでしょう。

消費者物価は下振れも 1月の東京都区部CPI(生鮮食品とエネルギーを除く、以下同じ)は前年比3.1%上昇と、昨年12月から伸びが鈍化しました。2月27日に発表される1月の全国CPIも下振れるかもしれません。昨年12月の全国CPI(生鮮食品とエネルギーを除く)は前年比3.7%でした。昨年12月まで15カ月連続で日銀が物価目標とする2%を上回りましたが、それでも日銀は「持続的・安定的に物価目標を達成できていない」との判断を崩していません。このままインフレ率の鈍化が続けば、そうした判断を修正するのが一段と難しくなるかもしれません。