楽天モバイルと米AST SpaceMobileは2月16日、衛星とスマートフォンの直接通信によるモバイルブロードバンド通信サービスの提供計画について、日本国内で2026年内の提供開始を目指すと発表した。

  • 楽天モバイル 代表取締役会長 三木谷浩史氏/AST Space Mobile チェアマン兼CEO アーベル・アヴェラン氏

    楽天モバイル 代表取締役会長 三木谷浩史氏/AST Space Mobile チェアマン兼CEO アーベル・アヴェラン氏

ASTは低軌道衛星群による通信サービスの構築を目指しており、楽天は早期からの大口出資者でもある。ASTの特徴としては、先行するスペースX社の「Starlink」のような専用受信機をユーザーが設置するものではなく衛星とスマートフォンの直接通信にターゲットを絞っており、出力の低い携帯端末からの上り通信を受信するために、衛星には直径24mもの巨大なアンテナを備える。地形や災害リスクにとらわれず、面積ベースでのエリアカバー率を飛躍的に高める手段とアピールしている。

2022年に試験衛星「BlueWalker 3」を打ち上げ、2023年4月にはAST、楽天モバイル、英Vodafone、米AT&Tの4社が協力してテキサス州で市販スマートフォンを用いた音声通話試験を行った。

日本国内での実現に向けた動きとしては、福島県に地上局(ゲートウェイ)が開設されているほか、2022年11月に楽天モバイルが実験試験局免許の予備免許を取得している。今後、福島県のゲートウェイから試験衛星を経由して北海道内のスマートフォンに接続するという経路で国内での通信試験が行われる予定だ。

なお、競合サービスの動きとしては、KDDIとスペースXがStarlink衛星とスマートフォンの直接通信サービスを2024年内に提供すると予告している(※関連記事)。ただし、KDDI/スペースXは開始時点ではテキストメッセージのみを対象とする予定であるのに対し、楽天/ASTは音声通話やデータ通信も含めて同時に提供する予定である点には違いがある。