RIZAPグループは2月14日、2024年3月期 第3四半期決算説明会をオンラインで開催した。それによれば、chocoZAP事業が初の黒字化を達成。RIZAPグループ 代表取締役社長の瀬戸健氏は「来季はさらに成長を加速させていきます」と意気込む。このほか説明会では、chocoZAPでネイル、カフェ、ワークスペースなどを提供する新サービス、そして広告事業や海外展開についても詳細が明かされた。
■初の黒字化へ
chocoZAP事業の第3四半期(10-12月)の営業利益は+11億円(前年同期比+23億円)だった。瀬戸氏は「chocoZAPの営業損益ですが、事業をスタートして以降、四半期ごとに30億円ほどの赤字を出し続けておりました。それが今回、四半期ベースで42億円も改善し、初の黒字化を達成しています。11月以降は、連続してしっかりと黒字が確保できており、その幅も拡大中です」と報告する。
chocoZAP事業の早期黒字化にともない、同グループの2024年3月期の通期連結業績予想も営業利益が-45億円から-18億円に、最終利益も-90億円から-69億円に上方修正された。
■新サービスを拡大
chocoZAPでは、従来の「トレーニングを行うジム」のイメージを覆し、「セルフエステ」「セルフ脱毛」「ゴルフ」などのサービスも提供開始している。さらに2023年9月からは「セルフネイル」「ちょこカフェ」「マッサージチェア」「デスクバイク」「ワークスペース」といった新サービスも追加した。
これについて瀬戸氏は「ジムにはこれまで、きつい、辛い、元気じゃないと行けない、といった特別なイメージがありました。これを、誰でも使える身近なサービスに変えていきたいんです。マッサージだけでもやってみよう、コーヒーを飲みに行ってみよう、ワークスペースを利用してみよう、といった具合です。様々なお客さんがchocoZAPを利用するきっかけを作り、その結果として、運動に触れてもらう頻度も上げていければ」と説明する。
そのうえで今後は、会員ID×ライフログを活用して、顧客1人ひとりにパーソナライズ化したソリューションを提案していく構え。
瀬戸氏はchocoZAP事業の新たな収益源として、広告プラットフォーム事業の推進を掲げる。その名称は、すべてのパートナーにコミットする新事業『chocoZAP Partners』。すでに2月13日より本格スタートさせた。
まず広告主に向けては、高ポテンシャルな100万人の会員プラットフォームを使い、高付加価値な広告展開を通じた商品プロモーションをコミットする。そして会員に向けては、会員の趣味嗜好と連動した広告の表示、商品サンプルの提供などを行っていく。
同グループでは、顧客の行動履歴、購買履歴などのデータを会員IDから認識できる強みを利用する。瀬戸氏は「お客様を特定できることに加えて様々なタッチポイントも持っていますので、たとえば来店したAさんの行動履歴から最適なサイネージを表示する、購買履歴から最適なサンプリングを提供する、体重が増えていたらそのときに最適なトレーニングメニューを提案する、そういったサービスを行うことができます」と説明する。
このほか社会課題への貢献として「官民連携コンビニジム」300店舗の出店を目指す。運動習慣を定着させ、筋力低下を予防することで医療費や介護費の増加を抑え、無人店舗や空き物件などを活用することで空き家の増加を防ぎ、ひいては地域住民の交流促進もはかっていきたい、と説明。官民連携コンビニジムの候補には、公民館・図書館、廃校舎なども含まれている。
chocoZAPは高速道路のサービスエリア、そして道の駅にも出店。運送ドライバーの健康維持にも貢献していく、と説明する。さらには3か国6都市にも展開予定と明かした。すでにロサンゼルスのほか、北京、上海、成都、香港、台湾など9店舗にはテストマーケティングで出店しているという。
瀬戸氏は、最後に「これまでchocoZAPには継続して投資をしてきましたが、ひとつの区切りとして、ようやく黒字トレンドに変わることができました。やっとスタートラインに立とうとしています。引き続き、応援していただければ幸いです」とまとめた。