新型コロナウイルスやインフルエンザの感染増加により、せき止め薬の不足が続く中、セルフケアの重要性に注目が集まっている。そこで今回は、龍角散が音声の専門医・渡邊雄介先生に尋ねた"のどを守るために大切なことや予防策"を紹介する。

  • のどを守るために大切なことは?

■のどを守るためにはセルフケアが大切

同社は2023年12月、20代~50代のビジネスパーソンを対象に「のどケア事情調査」を実施(有効回答500人)。それによると、月に「1回以上」のどの症状が出る人は約4割を占めたほか、症状が「1週間以上」かかる人が約3割もおり、中には「4週間以上」とかなり長引く人も5.8%いることがわかった。

一方、日常的にケアしている人は少なく、症状が出てから「市販薬を飲む」(42.9%)という人が多いことが明らかになったという。

  • のどの症状が出た時、病院に行く派?市販薬を飲む派?

しかし、のどを守るためには、日頃の対策や症状が重くなる前のセルフケアやセルフメディケーション(自分の健康を自分で守ること)が大切になる。では一体、どのようなことを心掛けたら良いのだろうか。

■潤いを保つこと、線毛の働きを正常に保つこと

特に医療現場でせき止め薬などのどの不調に関する薬剤が不足している今、日頃のケアの重要性はより一層高まっている。渡辺先生によると、のどを守るためには「のどが不調をきたす前から潤いを保つこと、線毛の働きを正常に保つこと」が大切なのだそう。

■線毛運動ってなに?

のどには、異物やウイルスの侵入を防ぐ「線毛運動」という防御機能が備わっている。のどの内壁には粘膜があり、「線毛」と呼ばれる特別な毛のついた細胞が敷きつめられているのだとか。吸い込んだ異物は、のどの粘膜を流れている粘液で捕らえられ、一定方向にビートをうつ線毛運動により粘液は流れ、異物は排出されていくと説明している。

■のどの乾燥を防ぐ予防策

龍角散がのどの症状別に症状が現れる頻度を調べたところ、現れやすい症状(「よくある」と「ある」の合計)は、1位「のどの乾燥」(33.8%)、2位「せき」(33.4%)、3位「たん」(30.8%)となったという。

  • のどの症状別 症状が現れる頻度

よく起きる症状の1位「のどの乾燥」は、特に寒い時期に多い。「就寝時に暖房をかけたまま寝てしまい、翌朝のどがカラカラに乾燥している」という体験をした人も多いのではないだろうか。

では、のどの乾燥を防ぐにはどうすればいいのだろう。渡辺先生によると、「マスクをつけて眠る」「就寝時できるだけ部屋を乾燥させないように加湿器をつける」「ぬれタオルを部屋にかけておく」などが対策として有効とのこと。

■症状が出た時のセルフメディケーション

痛みやせきの症状は乾燥からくるものも多くあるそう。しっかり水分を摂ることが大切で、医学的には、健康な人の場合、1日1.5リットルは摂取するようすすめている。

また、のどにイガイガやカサカサといった違和感がある際は、大声を出す、かなり辛いものなど刺激的なものを飲食するとさらに悪化する可能性もある。さらに、乾燥しているのどは線毛が正常に機能していないため、ウイルスが体内に入りやすい状況となっており、仕事で長時間話さなければいけない時や、水分をこまめに摂れない時なども注意が必要としている。

  • 水分をしっかり摂ろう

■症状が長引く場合は受診を

もちろん、何かしらのどの症状を感じたタイミングで、のどの専門家である耳鼻咽喉科を受診するのが最善だが、「水分を摂ってもずっとのどが痛い・声がれが治らない」「市販薬を飲んで1週間経過しても良くならない」といった場合は早めの受診をすすめている。

これらの症状は、なんらかのウイルスや細菌による上気道炎という病気の可能性があるため、専門医での診断治療が不可欠なのだとか。さらに中には、呼吸困難に陥り生命が危険になる喉頭蓋炎や感染症だけではなく、のどの悪性腫瘍といった病気が隠れている可能性もあるとしている。

  • 渡邊雄介先生

**渡邊雄介先生プロフィール** 医療法人財団順和会 山王メディカルセンター副院長、国際医療福祉大学医学部教授、 山形大学医学部臨床教授、東京大学医科学研究所附属病院非常勤講師。
専門は音声言語医学、音声外科、音声治療、GERD(胃食道逆流症)、歌手の音声障害。
音声の専門医として一般の方からプロフェッショナルまで幅広い支持を得ている。
著書に『マスクをするなら「声筋」を鍛えなさい』ほか多数。