部下を持つようになると、大きな仕事の前など部下に頑張ってほしいときや、モチベーションの低い部下をやる気にさせたいときなど、どんな言葉を掛けたら効果的なのか迷ってしまうシーンもあるでしょう。
本記事では人をやる気にさせる魔法の言葉と、その理由やポイントを紹介。部下のモチベーションが低い原因や、信頼関係を築いてやる気にさせる方法もまとめました。
人をやる気にさせる魔法の言葉の一覧
仕事においてある程度の役職に就いていると、大事なクライアントとの商談を部下に任せたり、大きなプロジェクトを立ち上げてメンバーを率いたりと、自分が直接仕事を行うよりも、部下をまとめて業務を進めていく役割の方が多くなります。
ここぞという場面で部下に頑張ってもらうために、やる気を出すきっかけとなるような言葉掛けをしたいものです。そこで、人をやる気にさせる魔法の言葉の例を紹介します。状況に応じて言葉遣いや表現をアレンジしつつ、活用してみてください。
「よく頑張っているね」
人は日頃の努力を認めてもらえたと感じれば、「これからも努力を続けよう」という気持ちになりやすいものです。
またこの言葉は、成果だけでなくそこに至るまでの過程を認める言葉なので、成果が目に見えにくい仕事をしている相手や、まだ成果を出していない相手に対しても効果のある声掛けと言えます。
「この部分が特に良いね」
例えば部下が資料をまとめて提出したときなどに、ただ受け取るだけでなく、全体に目を通して良い部分をピンポイントに褒めてあげましょう。具体的に褒めることで、部下は「しっかりと内容を見て評価してもらっている」と感じます。
また、褒められた部分について自信がつくので、「今度はこれを生かしつつもっと良くしよう」というように、モチベーションのアップにもつながるでしょう。
「○○さんも褒めていたよ」
直接褒めるのももちろんいいですが、第三者を介して間接的に褒めるようにするとより信ぴょう性が高まり、好印象を与えられるでしょう。
直接褒めると、場合によっては「お世辞かもしれない」「気を遣われているのかも」と思われることもありますが、第三者を介して「○○さんも褒めていたよ」と言うと、すんなりと受け入れられる人が多いようです。ただしうそがバレると不信感につながるので、うそはいけません。
「頼りにしているよ」「○○さんだから頼みたい」
仕事を任せるときに「頼りにしているよ」「○○さんだから頼みたい」と一言付け加えると、「一生懸命やって良い結果を出そう」という気持ちにさせやすい言葉です。なぜ頼りになるのか、具体的な理由を併せて伝えることもポイントです。
多くの人は頼られたり期待されたりすると、その気持ちに応えたいと考えます。特に上司から頼られると「上司は自分のことを評価してくれている」と感じるので、信頼関係が構築され、部下のモチベーションもアップするでしょう。
ただし、言い方や事情によってはプレッシャーと感じられてしまうこともあるので、上手に使いましょう。
「ありがとう」「助かったよ」
部下が仕事を提出したときや、自分の仕事の手伝いをしてくれたときなどに「ありがとう」や「助かったよ」などの言葉を掛けると、部下を「次の仕事も頑張ろう」という気持ちにさせられるでしょう。
部下に限らず、人に何かしてもらったら感謝の言葉を伝えるのは当然のことではありますが、仕事となると「社会人であれば仕事をこなすのは当たり前」という考えが生まれてしまう人もいるようです。そういった人は部下にも「仕事はやって当然」という態度を取るので、部下のやる気も下がってしまいます。部下への感謝は、少し大げさなくらいに伝えることをおすすめします。
「失敗しても大丈夫」
特に自己肯定感が低い人は、失敗したら責められると思って失敗を恐れるあまり、重要な仕事をやりたがらない傾向にあります。しかし、「失敗しても大丈夫」と声を掛けることで、どんな結果でも責められないという安心感が生まれ、伸び伸びと仕事にとりかかれるようになるでしょう。
部下が心に余裕を持って仕事に取り組めれば、仕事の成功にもつながります。
もちろん、失敗したら取り返しがつかないというようなことに関して、無責任にこの声掛けをするのは望ましくありません。リカバリーが可能な事柄に関して用い、自らも適宜、状況の確認をしたり、フォローをしたりすることを組み合わせて活用しましょう。
「一緒に頑張ろう」「私がしっかりフォローするからね」
やったことのない仕事や責任が大きな仕事は、部下にとってプレッシャーが大きく、不安から尻込みしてしまったりモチベーションが下がってしまったりする場合があります。
そんなときには具体的に「一緒に頑張ろう」「私がしっかりフォローするからね」というフレーズを使うことで、部下に安心感を与え、やる気にさせられるでしょう。無茶ぶりではなく、同じ目標に向かって一緒に進んでいく姿勢を見せることが大切です。
部下との信頼関係を築き、やる気にさせる方法・ポイント
部下を上手に動かすために、人をやる気にさせる魔法の言葉は有効ですが、もちろんその言葉だけでは部下は動いてくれません。仕事をしていく上で大切なのは、部下と信頼関係を築くことです。
ここからは、部下と信頼関係を築くために重要なポイントをピックアップします。
自分のミスがあれば認める
人は誰でもミスをしてしまうものです。しかし、ミスをしたときにかたくなに自分のミスを認めようとしなかったり、他の人に責任をなすり付けるような言い訳をしたりすると、評価や信頼は低下してしまいます。
たとえ部下が相手であっても、自分のミスがあればしっかり認めて謝ることが大切です。
部下の話をよく聞く
忙しいからといって、部下の話を他の仕事をしながら聞いたり、部下の話を遮って自分の意見を述べたりすると、部下に「上司は自分の話をしっかり聞いてくれない」と思われて、信頼を失ってしまいます。
部下が話しているときは手を止めて部下の方を見たり、自分と違う意見でも最後まで話を聞いたりするなど、基本的な傾聴の姿勢を崩さないようにしましょう。
部下のことを信頼する
信頼してもらうためには、自分が相手を信頼することが大切。信頼してもらえていないと感じれば、相手は警戒心や悲しみを抱いてしまうでしょう。まずは上司である自分が、部下を信頼しましょう。
「自分でやった方が楽だから、早いから」と、部下に重要な仕事を任せないのは、相手を信頼していないということです。雑用など簡単な仕事しか渡さないのも同様です。
「どうせ言っても理解できないだろう」「説明するのが面倒だから」と、必要な情報を与えないことも、相手を信頼していないということであり、不信感につながります。
しっかり褒める
「褒めて伸ばす」という言葉があるように、褒められると人はうれしくなり、さらに成長していきます。大人であっても褒められるのはうれしいものなので、自分のことを褒めてくれる人には良い印象を抱きやすいです。
部下が「この人は自分のことを認めてくれる」と感じて心を開いてくれるように、良いと思った部分は積極的に褒めるといいでしょう。
部下のモチベーションが低い原因
上司としてさまざまな部下を率いていくと、モチベーションが低い部下に出会うことがあるでしょう。上司の立場ではもっとやる気を出してほしいと思ってしまいますが、部下の立場からするとモチベーションが上がらない理由があるのかもしれません。
ここでは、部下のモチベーションが低いときに考えられる原因をチェックしていきましょう。
仕事について不満がある
部下自身がやりたい仕事をやれていなかったり、仕事内容にやりがいや自分が成長できるビジョンを見いだせなかったりと、仕事について不満がある場合は、部下のモチベーションが低下してしまう可能性があります。
与えられた仕事の重要性や、その仕事を越えた先にあるプロジェクトの成功イメージが理解できていない場合にも、モチベーションが低くなりがちです。
部下に仕事を割り振るときには「その仕事を成功させることでどんなメリットが生まれるか」などをしっかり説明して理解させるといいでしょう。
悩み事がある
部下自身が悩み事を抱えていると、悩みに気を取られて仕事に集中できず、モチベーションが下がってしまうケースがあります。悩み事の内容は人によってさまざまですが、会社での人間関係や業務に関することなど、上司としてサポートできる内容であれば、悩み事の解決をサポートすることで部下のモチベーションアップにつなげられるでしょう。
部下が悩みを抱えているかどうかは、ぱっと見ただけではわからないかもしれません。日頃から部下の様子に気を配る、相談しやすい空気作りをするなどのことを心掛けましょう。
上司との信頼関係がない
同じ仕事をこなすにも、好きな上司から頼まれたものと嫌いな上司から頼まれたものでは、仕事のモチベーションが変わってきます。部下に「この人に頼まれたからには頑張ろう」と思ってもらうには、常日頃から積み重ねた信頼関係が必要です。
部下を大切にしない上司は、部下からも信頼されません。良い人間関係を築くことは、部下のモチベーションを上げる第一歩とも言えるでしょう。
人をやる気にさせる魔法の言葉と信頼関係で、部下のモチベーションを上げよう
人をやる気にさせる魔法の言葉は、部下のモチベーションをアップさせたり、自信を持たせたりするのに効果的です。部下がやる気になれば、おのずと仕事の成果も上がるでしょう。
しかし、それらの言葉だけで部下がやる気になるわけではありません。部下が一生懸命仕事をしようと思うためには、上司との信頼関係が構築されていなければなりません。
人をやる気にさせる魔法の言葉だけでなく、普段からの良い声掛けやサポートで、部下の信頼を得られるように心掛けましょう。