日産は2024年1月30日、三菱自動車から軽商用電気自動車(EV)の「ミニキャブEV」のOEM供給を受けて、「日産クリッパーEV」として2024年2月12日から発売すると発表した。
日産は軽LCV(ライト・コマーシャル・ビークル)の電動化を早期に進めるため、三菱からのOEM供給を受けて、市場投入することになった。航続距離は最大180km(WLTCモード)であるなど、メカニズムは三菱ミニキャブEVと共通。変更点はフロントグリルや日産バッジ、ステッカー類である。
そんななか、「日産クリッパーEV」というネーミングは、当然ながら三菱のモデルとの最大の“違い”である。名称ではあえて「日産」を付け加えているが、これは日産アリア、日産リーフ、日産サクラとも同様。電動化のリーダーシップを目指す日産にとってEV車両は重要なモデルであることから、日産クリッパーEVでは他のEV車両と同様に「日産」を付けてコミュニケーションしているとのことである。
また、ガソリン車のクリッパーは、スズキ キャリイのOEMを受けるトラックが「NT100クリッパー」、バン(スズキ エブリイのOEM)が「NV100クリッパー」を名乗っている。NTは「NISSAN TRUCK」、NVは「NISSAN VAN」の略で、100は車両総重量1トンクラスを示す。日産クリッパーEVでは、バン仕様であるのに、NV100は付かず、クリッパー単独名である。この理由について日産では、10年ほど前に同社では商用バンをNVシリーズとして展開。キャラバン、ADバン、クリッパーについては、NV350キャラバン、NV150 AD、NV100クリッパーと改称したものの、依然としてキャラバンなどの“車名”で呼ばれることが多かったため、NVシリーズを外したとのこと。一方でNV200バネットは「NV200」で呼ばれることが多かったため、NVの車名を残しているという。ガソリン車のNV100/NT100クリッパーは近い将来、改良のタイミングで「クリッパーバン/クリッパートラック」に再び戻されるようだ。
ちなみに、クリッパーの名称を選んだのは、日産の軽商用モデルを使うユーザーに「クリッパー」の名前が親しまれており、すでに車名の認知度が高い「クリッパー」という名称を有効に活用したい意図があったから。末尾のEVは三菱のミニキャブEVと合わせたわけではなく、車両の特徴点をネーミングに加えた結果であるという。
車名は単純なようで、じつに奥が深い。
〈文=ドライバーWeb編集部〉