JR西日本と産経新聞の特別企画として、特急「やくも」の新型車両273系を大阪駅で見学できるイベントを2月10日に開催。あわせて報道公開も行われた。当日は事前申込みを行った参加者らが集まり、営業運転開始前の新型車両を思い思いに見学していた。
特急「やくも」の新型車両273系は4月6日から営業運転を開始し、岡山~出雲市間で運行される。外観は「やくもブロンズ」と呼ばれる暖色系を基調としており、従来のJR西日本所属の特急形電車とは一線を画すデザインとなった。車体前面・側面に「やくも」のロゴを配置し、「モダンに八雲立つ、伝統を継承」したシンボルマークも掲出している。
4両編成のうち、出雲市方の1号車は半室グリーン車とグループ向け座席「セミコンパートメント」に。半室グリーン車は横3列(1列+2列)の座席配置で、「積石亀甲」模様をあしらった座席デザインとなった。「セミコンパートメント」は2人用(横1列)・4人用(横2列)を用意し、それぞれ向かい合わせの座席配置となっている。各席に大型テーブルと足が伸ばせるシートを用意した。「セミコンパートメント」の料金は普通車指定席と同額だという。
2~4号車は普通車で、横4列(2列+2列)の座席配置となっている。座席デザインは「麻の葉」模様をあしらった。特急「やくも」は3月16日のダイヤ改正で全車指定席となるため、4月6日にデビューする273系の普通車も指定席として使用されることになる。
イベント当日、大阪駅10番線のりばに4両編成の273系が停車していた。隣の11番線に特急「サンダーバード」「こうのとり」が停車したため、273系と既存の特急形電車のデザイン比較もできた。車体の形状自体は既存の特急形電車(貫通型)と大きく変わらないが、273系は暖色系の配色としていることもあり、より温かみを感じられる電車になったのではないかと思う。
車内デザインにも違いが見られる。273系はグリーン車を中心に内装も暖色系でまとめられ、普通車の床面は木目調となった。一方、隣のホームに停車していた「サンダーバード」の車内をのぞくと、白系の化粧板がよく目立った。参加者の中にも、新型車両の座り心地を堪能しつつ、隣のホームにいた「サンダーバード」と比較する様子が見られた。
グリーン車の座席は筆者も座ったが、快適な座り心地もさることながら、横幅の広さに驚いた。参加者たちもグリーン車を満喫したようで、中には座席を限界までリクライニングする子もいた。
273系で使用される「やくも」の新たな車内チャイムも披露された。車内チャイムは山陰発の人気バンド「Official髭男dism」の楽曲を使用。岡山方面は「Pretender」、出雲市方面は「I LOVE...」が流れる。どちらもさわやかな雰囲気のチャイムに仕上がっていた。
デザインを監修し、車内見学イベントにも参加したデザイナーの川西康之氏(イチバンセン代表取締役)は、273系の前で報道関係者らの取材に応じ、「デザインを承った者としては、お客様にきちんと満足していただけるかどうか。そこを心配しながら楽しみにしています」とコメントした。
なお、2月10日のイベントに続き、2月12日も大阪駅10番のりばで新型車両273系の車内見学イベントが行われる(12時25分から15時20分まで)。事前申込みはすでに終了している。