春の行楽シーズンに向けて、旅行を計画している人も多いのではないでしょうか。
温暖な地域に出かけて、美味しいご当地グルメを堪能して、歴史遺産にも触れることができたら―――。心身ともにリフレッシュできそうです。
このタイミングで、日本三景のひとつで世界文化遺産にも登録されている広島・厳島神社を、ちょっと珍しい「七浦巡り」というルートで周るツアーに参加する機会を得ました。
滞在したホテルの様子などとあわせて、本稿で紹介していきましょう。
どんなツアーなの?
厳島神社は、広島県廿日市市の宮島にある神社です。その起源は古く、安芸国の豪族だった佐伯鞍職(さえきのくらもと)が593年に創建したとされています。厳島神社というと、大鳥居が海の中に建ち、社殿も海の上に建っているイメージがありますね。
海上社殿は、平清盛の援助を受けた神主の佐伯景弘が1168年(仁安3年)に建設したもの。宮島そのものが御神体と考えられたため、神の島を傷つけないよう、海の部分に社を建てたということです。
そんな宮島の浦々に鎮座する"末社七社"を巡拝する「七浦巡り※御島巡りとも」は、その昔、厳島神社に住む神様が鎮座の場所を探して浦々を巡ったことにちなんだもの。江戸時代から盛んに行われてきた、伝統的な参拝方法のひとつだそうです。
民間で歌い継がれてきた里謡にも『安芸の宮島まはれば七里、浦は七浦 七恵比須』とあります。
現在、いくつかの事業者が七浦巡りのツアーに対応。途中で上陸するなどして2時間半をかけてじっくり巡るツアーもありますが、筆者は小さなクルーズ船で約1時間かけて周るツアーに参加しました。
宮島の周囲約30kmを右回りに巡拝していく七浦巡り、まずは杉之浦神社へ。
お社は海上から見えにくい位置にあるので、ガイドの船長の説明にしたがって、お社のある方角に二拝二拍手一拝します。ちなみに杉之浦神社には、厳島神社からも片道30分ほどかければ歩いて行けるそう。続いて、船は包ヶ浦神社に。こちらは七浦には含まれない、との説明です。
続いて鷹巣浦神社、腰少浦神社と巡ります。その都度、細かな説明をしてくれる船長。少人数の小型船で巡るツアーは、疑問に思ったことをすぐに船長に聞ける点がメリットに感じました。
七浦巡りは、4つめの青海苔浦神社で中間地点。宮島の中央に高くそびえる駒ヶ林(標高509m)などの山地から見ると、厳島神社はだいたい1時の方角、それに対して青海苔浦神社は真逆の7時の方角に位置しています。
その昔、港から船を漕いでくるとこのあたりで正午となるので船頭さんのお昼休憩の場所になっていた、そのとき皆さん”青海苔”の入ったお弁当を食べていた、そんなことから青海苔浦神社の名前がつけられたという話には心もホッコリします。
他方、先ほど紹介した厳島合戦で毛利軍に敗れた陶晴賢が付近を流れる青海苔川の上流まで逃げてきて自害したという話に歴史好きの血もゾクゾクするのでした。
このあと船は、七浦には含まれない養父崎神社(やぶさきじんじゃ)に。
ここは宮島における神事のなかでも最重要な「御烏喰式(オトグイシキ)」が行われる場所で、沖に粢団子(シトギダンゴ)を供えて雅楽を奏すると、2羽の神鴉(オガラス)が現れて団子をくわえて養父崎神社に持ち帰る、と言い伝えられています。なんとも神秘的。
次の山白浜神社は、宮島の西南端。ここまで来ると、船は海岸をなぞって北に進路を変えます。間近に通り過ぎるのは、無人島の可部島。
6つめの須屋浦神社の境内には数頭の鹿の姿。ファミリーでしょうか。厳島神社の参道で見かける鹿は安全のために角切りされていますが、この辺りの鹿は立派な角を生やしています。
そして最後の御床神社。厳島神社が創建されるまでの間、御祭神を祀っていた神社です。台座の岩の裂け目の模様が、厳島神社の神紋(三亀甲剣花菱紋)になったとも言われています。
聞けば、山を歩いて何時間もかけてここまで参拝に来る人もいるんだとか。
これにて七浦巡りは終了。各所の七恵比須さまにしっかりと二拝二拍手一拝しました。
最後、船はスピードを上げて厳島神社の大鳥居の間近まで迫ると、ここでしばしのフォトタイム。船上では大鳥居をバックに、皆さん思い思いのポーズで記念撮影を楽しみました。
いざ厳島神社の参拝へ
このあとクルーズ船は宮島桟橋に到着。七浦巡りをしてから厳島神社を参拝するとご利益が増し増しになるということで、筆者も気分良く境内に向かいました。
ホテル選びも重要
最後にホテルを紹介しましょう。旅の印象を大きく左右するのがホテル選びです。
広島市内には大小様々なホテルがありますが、今回は「繁華街に近くて便利」「リッチな気分でゆっくりできる」「朝ごはんが充実している」という特徴を持つ「ホテルインターゲート広島」に宿泊してみました。
なお、朝食では50種類以上のメニューからなる「焼きたてパンとごちそう野菜の朝ごはん」を楽しめるそうですよ!
客室は、最上位クラスの「ジュニアスイート和タイプ」あるいは「ジュニアスイート」(どちらも44平米)なら定員1~4名で利用できるので、友人とのグループ旅行や家族連れでも安心。
2名1室利用時の料金は1万5,320円~3万6,180円(1名分)となっています。
また「インターゲートダブル」(20~22平米)であれば定員1~2名で利用可能。2名1室利用時の料金は5,800円~18,360円(1名分)とリーズナブルです。
このほか「スタンダードシングル」「モデレートシングル」「スーペリアツイン」といった客室タイプを用意しています。
なおホテル1階には大浴場も用意しています。
ラウンジが充実しているのもホテルインターゲート広島の特徴のひとつ。
地元広島で昭和22年に創業した老舗 寿屋珈琲のクラシックブレンドを楽しめるほか、時間帯によってアフタヌーンサービス(15~20時)、ハッピーアワー(17~19時)、お茶漬けバイキングの夜食(20~22時)などを利用できます。
さらにユニークな取り組みとして、全国のインターゲートホテルズでは地域の伝統産業・工芸従事者の協力のもと、伝統文化を体験できるサービスを提供。
当ホテルでは「杓子の絵付け体験」などのプログラムを用意。家族や友人と一緒にワイワイ言いながら絵付け体験したら、旅の良い思い出になりそうです。
そして気がつけば、もう夕食の時間。できればご当地ならではのグルメを存分に楽しみたいと思います。
広島といえば"広島風お好み焼き"ということで、JR広島駅に入っているオタフクソースがオープンした施設「OKOSTA-オコスタ」に行ってみました。
本格的な大きな鉄板を前に、インストラクターのスタッフが作り方をイチから教えてくれます。自分で焼いて食べる、アツアツの広島風お好み焼き。そのおいしさは、やはり格別です。
というわけで本稿では、厳島神社の「七浦巡り」をメインに組み立てた広島旅行のモデルケースを紹介しました。皆さんの春の旅行プランの参考にしてもらえたら幸いです。
●information
ホテルインターゲート広島
住所:広島県広島市中区鉄砲町5番16号
客室数:233室
アクセス:JR広島駅より広島電鉄「八丁堀」下車 徒歩約3分、JR広島駅よりタクシーで約5分