ブルペンで投球練習するロッテ・土肥星也[撮影=岩下雄太]

 「肘を下げることによって体が回るようになったので、それで球速も上がってきたのかなと思います」。

 ロッテの育成・土肥星也のストレートの力強さが増している。

 昨年6月15日の取材で「最近は制球も良いし球も良いので、あんまり打たれていない感じですね。最近、良くなってきたのは肘を下げたというか、自分の中で下の方で投げています」と昨季途中に左肘を下げて投げるようになってから球速が上がり、7月5日の巨人二軍戦では自己最速の149キロを計測。同日の試合では1回・15球を投げ、実に12球がストレートだった。

 昨季中の支配下選手復帰は叶わなかったが、7月以降はファームで18試合・19回2/3を投げ、18被安打、10奪三振、8与四球、防御率1.83。7月13日のヤクルト二軍戦から8月15日のDeNA二軍戦にかけて7試合連続無失点に抑えた。

 今年のオフは「球速アップもそうですけど、調子の波が激しいので、それをなくせるようにフォームを固めることをやりました」と、球速アップ、調子の波を一定にするためのトレーニングを積んできた。

 調子の波をなくすためにやっていることについて、土肥は「試合を投げていくとフォームが崩れていくので、そこを修正できるようにというところが大事かなと思います」と語った。

 昨季開幕頃は制球に不安定さがあったが、左肘を下げるようになってから、制球が安定する登板が増えてきた。「去年ぐらいから球速出ているときは制球も安定してできていて、球速が出ていないときは制球が安定していない。そういうところです」と自己分析。

 昨季はファームで実戦経験と1年間戦う体力をつけていた捕手の松川虎生は、土肥のストレートについて「ストレートの強さというのは受けていて感じるところはたくさんあります。その真っ直ぐが生きるから変化球も生きてくると思うので、真っ直ぐの質というところはすごく良くなっているんじゃないかなと思います」と評価した。

 9日のライブBPでも「結構球速も上がってバッターにも差しこめているのかなという印象ですね」(土肥)と、茶谷健太、佐藤都志也、池田来翔、小川龍成と対戦し、力強いストレートを中心に20球を投げて安打性のあたりはわずかに2本、空振りは1球だった。

 「とにかくゼロでいくのはもちろんですけど、しっかりバッターにストレートで押し込めているところを見せていけたらいいかなと思います」。支配下選手登録復帰に向けて、石川歩、二保旭、菅野剛士、吉田凌、古谷拓郎とライバルが多い。昨年は7月31日の期限内の支配下選手登録復帰とはならなかったが、磨いてきたストレートを武器に、支配下選手に返り咲きたい。

取材・文=岩下雄太