ロッテの石垣島春季キャンプの野手練習メニュー表を見ると、キャンプ初日からメイン球場、第2球場、若手野手を中心とした“強化組”に分かれている。
“強化組”には池田来翔(1日〜7日まで記載)、山本大斗、金田優太、村山亮介、勝又琉偉、黒川凱星、松石信八、髙野光海、藤田和樹、富山紘之進の背番号が記されていることが多い。栗原健太打撃コーチにその狙いを聞くと、「自主性も大事なんですけど、高卒1年目、2年目、特に若手はまだ体ができていない。そういったところで、まずフィジカルをしっかりやるというところで午前中はウエイトトレーニングをメインでやって、午後からは技術もそうなんですけど、しっかり振る体力をつけていこうというところでやっていこうと思います」と、教えてくれた。
チームとしては自主性の重要性を吉井理人監督が就任当初から唱えてきたが、まず若手野手に関しては自分で考えることよりも、プロで戦う体を作るため“こなす練習”が中心のメニューとなっている。
ではなぜ、去年の春季キャンプにはなかった“強化組”が今年はあるのだろうかーー。
「去年は全体練習が昼ぐらいで終わって、午後から個人練習、自主練習みたいな感じになった。一軍のレギュラー、一軍にいるメンバーと同じような練習をしていても、超えられないというところで、その反省もあってサブロー二軍監督が今年に関してはしっかり振らせようというテーマです」(栗原二軍打撃コーチ)
若手選手たちは強化ティー、股割り連続ティー、タブレットに一軍投手の球をインプットさせたらその球筋がくるという最新の打撃マシンを使って打ち込んでいる。最新の打撃マシンでは栗原コーチによると「真っ直ぐが145キロ、スライダーが何キロとか、セッティングができる。それをセッティングしてスピードはこれくらいでやっています。(球種も)真っ直ぐの割合が60%でカーブ、スライダーが20%ずつみたいな感じです」と、ランダムにボールが来るとのことだ。
2日の練習後の取材で勝又は「振る量が多いので、キツイです」と話せば、同日の練習後に取材した池田も股割り連続ティーに「キツイですね」としながらも、「こういったキャンプは初めてですし、こういった時しか練習ができないと思うので、オープン戦行く頃には自分が飛び抜けているようにやっています」と、とにかく自分のためにバットを振っている。
金田は8日の練習後の取材で「チームの方針でも強化組という形でやらせてもらっているので、数もそうですし、全体練習からコーチから教えてもらったりしています。その時間に教えてもらったことをできる限り時間いっぱいやっていこうという感じです」と語った。
バットを振り込む春季キャンプとなっているが、金田は「結果を出すことが一番ですし、一軍でやらないと意味がないので、一軍に上がれるように。ファームスタートになっても、ならなくても結果にこだわってやっていきたいと思います」と、シーズンに繋げていきたいと考えている。
新人選手たちについて栗原二軍打撃コーチは「第1クールは強化ティーとか股割りはやっていなかったんですけど、第2クールの8日から始めて、ある程度こちら側からこういうメニューをやってねというメニューをやらせています。あとは自由なので、自分で考えてやりなさいと言っています」と、量をこなさせながらも、自分で考える習慣を養わせている。
栗原コーチから見て若手選手たちは「非常にみんな頑張ってやっていると思いますし、体的にはしんどいことをやらせていますから、しんどいとは思うんですけど、そこを乗り越えていって欲しいなと思います」と期待した。
“強化組”の選手たちから振る量が多く「キツイ」という言葉が出るほどの練習量となっているが、この成果が将来的に育成選手で言えば支配下選手登録、その先のレギュラーに繋がっていくと考れば、今は量をこなす必要がある。量をこなしていくうちに覚えること、わかること、新たな引き出しにも繋がる。“強化組”は今日も“自分たちを超えてゆく”。
取材・文=岩下雄太