米労働省が2月2日に発表した1月雇用統計の主な結果は、【1】非農業部門雇用者数35.3万人増、【2】失業率3.7%、【3】平均時給34.55ドル(前月比+0.6%、前年比+4.5%)という内容であった。
【1】雇用者数
1月の非農業部門雇用者数(季節調整済)は前月比35.3万人増と市場予想の18.5万人増を上回った。前月分と前々月分の雇用者数が合計で12.6万人上方修正された。この結果、雇用情勢の基調を判断する上で重要視される3カ月平均の増加幅は28.9万人へと拡大した。
【2】失業率
1月の失業率(季節調整済)は3.7%と、3カ月連続で横ばいだった。市場は3.8%への上昇を見込んでいた。一方、フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)が前月の7.1%から7.2%へとやや上昇した。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は前月から横ばいの62.5%であった。
【3】平均時給
1月の平均時給(季節調整済、全従業員)は34.55ドルと前月の修正値34.36ドルから0.19ドル増加。伸び率は前月比+0.6%、前年比+4.5%で、市場予想の前月比+0.3%、前年比+4.1%を上回った。なお、平均時給は34カ月連続で過去最高を更新した。
まとめ
今回の米1月雇用統計は、非農業部門雇用者数、失業率、平均時給と、いずれも市場予想より強い結果であった。細かく見れば、労働参加率が横ばいだったほか、不完全雇用率が僅かに上昇するなど冴えない部分もあったが、総じてみれば米国の労働市場の堅調さを再認識させられる好結果であったと言えるだろう。市場では、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後もくすぶり続けていた3月の利下げ観測が大きく後退。3月利下げの確率を示す米金利先物の水準は雇用統計の発表後に約40%から20%以下へと急低下した。利下げは5月以降に後ずれするとの観測が広がる中、米長期金利とドルは上昇。米国株は下落した。ただし、3月19-20日の次回FOMCまでには、あと1回の雇用統計(3月8日、2月分)とあと2回の消費者物価指数=CPI(2月13日、1月分および3月12日、2月分)が発表される。これらを消化するまでは、市場の3月利下げ観測が完全に消えることはなさそうだ。